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何度でも立ち上がる男・村田修一は、
プロ野球界の『ロッキー』である!
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byYasutaka Nakamizo
posted2017/11/27 07:00
東京ドームに残っていた25番の思い出。あと135本が残る、2000本安打も狙いたいところだが……。
球史における、巨人補強組の「悲しい宿命」とは?
歴史は繰り返す。
どこかデジャヴ感のあるこの光景。
古くは張本や落合博満から、広澤克実、清原和博、小久保裕紀、イ・スンヨプ、アレックス・ラミレス、小笠原道大まで。
巨人に移籍してきたスラッガーは力が緩やかに落ち始めたらほとんどが放出され、最後は他球団で現役を終えている。誰かが来たら、代わりに誰かが弾かれる。プロ野球の悲しいリアルと言ったらそれまでだが、移籍組では球団史上初めて選手会長まで務めた村田なら、この悪しきジンクスを終わらせてくれるのではと期待するも、そうはならなかった。
成績そのものは阿部慎之助と同じくらいなのだが。
村田の今季成績は118試合で打率.262、14本、58打点。
阿部慎之助の129試合、打率.262、15本、76打点と打席数や守備力の差を加味したらほとんど同等の成績と言っても過言ではないだろう。
しかしプロ野球も一般企業も、生え抜きには甘く、外様には厳しい。
転職は慎重に……。
ただでさえ給料も高いFA移籍組や助っ人外国人は周囲を納得させる圧倒的な結果が必要だ。チームが優勝するか、個人で文句なしの成績を残すか……。残念ながら、2017年の村田はそのどちらでもなかった。
振り返ると、わずか1年前。
村田は打率.302、25本、81打点という堂々たる成績を残し、さりげなくチームぶっちぎりトップの21個の芸術的ゲッツーを記録し、三塁手ベストナインとゴールデン・グラブ賞に輝いている。
ガチの実力と笑いの要素を併せ持つミスター・エンターテインメント。
しばらくは巨人のサードは背番号25で大丈夫と思ったら、1年後にまさかの自由契約だ。