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何度でも立ち上がる男・村田修一は、
プロ野球界の『ロッキー』である!
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byYasutaka Nakamizo
posted2017/11/27 07:00
東京ドームに残っていた25番の思い出。あと135本が残る、2000本安打も狙いたいところだが……。
ベテラン村田の、絶対に逃げない姿勢を応援した。
恐らく多くの社会人は「なんでもっと評価してくれないんだ」と思いながら、日々仕事をしている。
少なくともサラリーマン時代の自分はそうだった。
給料はほとんど上がらないし、なんであいつが出世するんだなんて同僚と愚痴りあう。冗談じゃないよ、俺をもっと使ってくれと。結局、何もしようとしない己へのエクスキューズの数々。
あれは虚しいもんだ。
20代の燃えるような情熱が、30代になるとやがて諦めへ。俺たちもう終わっちゃったのかなあ……って時に球場で出会ったのが、どんな状況でも逃げずに賛否のステージに立ち続けるベテラン村田さんだった。
村田の背中にアラフォー男の生き様を見ていた。
ここ1~2年、東京ドームで背番号25に対する声援と拍手が急増していた。
ファンフェスタでも多くの25番ユニのファンが東京ドームの村田の巨大壁画前で記念撮影。
そんな彼が、なぜ今日ここにいないのか?
チームの世代交代に若返り。
理屈は分かる。
けど、理屈や数字だけじゃ語れないのがプロ野球なのである。
いつの時代も、野球ファンは球場にロジカルの向こう側を観に行く。感情と言ってもいい。大げさに書けば、選手の「人生」や「生き方」みたいなものだ。
たぶん、多くの観客は背番号25がプレーする野球だけを追っていたのではない。
村田の背中にアラフォー男の生き様を見ていたのだろう。そういう選手は今の球界では貴重なはずだ。