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27歳で、ついにフルシーズン完走。
湘南・山田直輝が語る怪我と代表。
posted2017/11/02 11:30
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
完全復活では満足できない。今年2月、新しい自分になることを誓っていた。
「かつての姿に戻っても、停滞だと思う。もっともっと上を目指す。今季は見ててください」
10月29日、湘南ベルマーレの黄緑色に染まったBMWスタジアム平塚のゴール裏で、J2優勝のシャーレを両手に抱えた山田直輝は、無数のフラッシュをたかれ、充実の笑みを浮かべていた。
「チームの目標は達成できた。J1昇格が決まるまでは長い1年だったけれど、いまとなっては短く感じる」
大雨のなか、興奮冷めやまぬ様子でシーズンを思い返した翌日。晴れやかな平塚の朝、リカバリートレーニングを終えると、落ち着いた口調で自らの1年を振り返った。
「自分自身、変われたと思う。1シーズンを通し、試合に出て、昇格に貢献できたので。それは、ケガをしないで1年を過ごせたということ。個人の目標も少しは達成できたかな」
18歳で代表デビューも、度重なるケガに泣いてきた。
プロ9年目の27歳。ケガと戦いながらキャリアを歩んできた。2009年、18歳で日本代表デビューを飾り、将来を嘱望されながらも腓骨、ハムストリング、ヒザなどを次から次に痛めて、負傷離脱を繰り返してきた。主軸としてフルシーズン働いたことは過去1度もなかった。プロ1年目に記録した、1シーズン20試合出場(リーグ戦)がキャリア最多だった。一時期は自信を失い、試合中にボールを触るのも怖くなった。信条であるサッカーを楽しむことも見失いかけた。
しかし、今季はチョウ・キジェ監督に大きな信頼を寄せられ、攻撃の柱として36試合に出場(39節時点)。積年の課題を克服し、ピッチでたくましく戦い続けた。筋肉系の故障を減らすために、新たに取り組んだことの成果が出た。