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ロナウジーニョを干した男・クルピ。
就任濃厚ガンバで遠藤をどう扱うか。
posted2017/11/03 07:00
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph by
AFLO
奇跡の残留を信じるアルビレックス新潟のサポーターがアウェイの地で歓喜に湧いた一戦は、ガンバ大阪の現状を象徴するような一戦だった。
16試合勝利から遠ざかっているアルビレックス新潟に0-1で敗れたのはサプライズでもなんでもない。東口順昭が古巣相手にビッグセーブを連発していなければ、大量失点の可能性さえあったほど、ガンバ大阪は最下位のチームに猛攻を許した。倉田秋を出場停止で欠いていたものの、新旧の日本代表と韓国代表2人を擁するタレント集団は一瞬の隙を突かれたわけでもなく、新潟にゲームを支配され続けた。
「やっていてもあまり楽しくないというか……。今は全然パスコースも少ないし、皆ボールを出して、止まってしまっている」と井手口陽介がこぼせば、藤春廣輝も「ずっと相手のペースだったし、僕らがボールを持てなかった」と話した。
「ファンの要求に応えられるようなチーム作りを」
歌を忘れたカナリア、ではあるまいが、かつてその攻撃サッカーでJリーグを席巻した大阪の雄には「攻めダルマ」だった当時の記憶はもはや、ない。
5年間の長谷川体制にピリオドを打ち、来季からは新体制でのリスタートを目指すガンバ大阪。クラブが目指す方向性は、長谷川健太監督の退任が発表された翌日、梶居勝志強化部長が口にした言葉の中に見え隠れする。
「攻撃サッカーも大事だし、ファン、サポーターの方からガンバに対する要求は、毎年高くなっている。その要求に応えられるようなチーム作りをするためにそういう人材を選びたい」
クラブ史上初のJ2降格を強いられた2012年の途中に、強化本部長(当時)に昇格した梶居強化部長は「監督選びは本当に大事」ということをその身で知る男だ。そんな強化部門のトップがあえて、長谷川体制にピリオドを打つことを決断したのは、攻撃サッカーの再構築を目指すがゆえである。