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27歳で、ついにフルシーズン完走。
湘南・山田直輝が語る怪我と代表。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/11/02 11:30
山田直輝らしい縦横無尽のムービングが、ついにシーズン通じて発揮された。その躍動を来年のJ1の舞台でも見たい。
トレーナーとともに使いきれていない筋肉を鍛えた。
開幕前のスペイン・キャンプで、新任の岸本琢也トレーナーに付きっきりで指導を受け、筋肉のバランスを整えた。右太もも裏と尻の筋肉をうまく使えていないことが分かり、徹底して鍛えた。
毎日、練習の約2時間前から準備し、同箇所に刺激を与えながらケガの予防に努めた。オフの2日後、3日後だけは練習を終えた後、筋力トレーニングにも励んだ。試合日から逆算し、ルーティンにしたのは今シーズンが初めて。「やるべきことは増えたが、ケガをしない体は何物にも代えがたい」。言葉には実感がこもる。
体をつくる食事面も見直した。プレシーズンマッチで筋肉を痛めたとき、同じような悩みを抱えていた元湘南の岡本知剛(現・松本山雅)に助言をもらい、元五輪スタッフの管理栄養士と個人契約を結んだ。
1日4食、栄養士に報告しつつ妻のサポートを受けて。
ここから本格的な体質改善が始まった。まず細かいアレルギー検査を受け、乳製品と卵は体に合わないことが判明。パン粉を使う揚げ物はメニューから除外され、「大好きだったカスタード系のスイーツもダメになりました」と苦笑い。毎日、その日の体調を栄養士に報告し、食事メニューを組んでもらっている。中学時代の同級生である妻の全面的なサポートも欠かせない。
「栄養士さんとメールのやり取りから任せている。僕は妻に自分の体調を伝え、食卓に出てきたものを食べるだけだった」
食事は1日3食から4食へ。朝、昼、夕、夕。夕食は17時、19時と分けて食べるほうが栄養分を吸収しやすいという。朝食メニューには栄養素が詰まったくるみが必ず3粒並ぶ。朝、昼、夕ともメイン料理は好物の肉から魚中心へ変更。食事量が増したこともあり、体重は1kg増えて平均65kgへ。それでも、体脂肪は2%減少して9%になった。疲労が溜まりにくくなり、今季は筋肉系のケガはない。毎日、食事をつくる妻も夫の変化を感じ取り、表情を綻ばせていた。
「朝、起きて体が重いと言わなくなりました。秋は気管支炎を患うこともあったのですが、今年はそれもないですね。何よりケガがなくて、安心して見ています。このまま続いてほしいです」