プロ野球亭日乗BACK NUMBER
一方的な展開は「1番の差」なのか。
明暗分かれたSB柳田とDeNA桑原。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/11/01 12:10
シーズンOPS1.016の柳田を切り込み隊長で使える。ホークスの陣容の分厚さを象徴する起用法だ。
一方、DeNAの桑原は絶望的な不調に苦しんだ。
「何かありますか……」
ギータが去ってから約40分後の横浜スタジアムの駐車場。ある1人の選手の周りを報道陣が遠巻きに取り囲んだ。
声の主はDeNAの1番打者・桑原将志外野手だった。
3試合で13打数無安打。第2戦での4三振を含めてこの日で三振は6つとなった。絶望的な不調に苦しむ姿に、さすがに報道陣も声をかけるのを躊躇った。するとこの選手は少し自虐的な笑みを浮かべて自分からこう話したのだ。
「いい当たりが正面を突いてしまって……」
遠慮がちに質問が飛ぶ。
1点差としてなお2死満塁で打席に立った6回のことだった。ソフトバンク3番手・森唯斗投手の2球目、127キロのスライダーをジャストミートしたライナーは、しかし右翼手の正面を突いてしまった。一塁手前で打球の行方を確認した桑原は、その場でへたり込んでしばらく動けなかった。
四球での初出塁も結果的に盗塁失敗に終わった。
「結果なんでどうしようもないです」
第3戦では第1打席に四球を選んでようやく初出塁も果たしたが、2番・梶谷隆幸外野手とのラン・アンド・ヒットがうまく連係できずに結果的には二盗失敗に終わった。
すべてがチグハグ。それでもチームのムードメーカーは声を振り絞る。
「僕は僕らしくやるしかないですから。とにかくまず塁に出られたから良かった。少しずつ形にはなってきているんで、明日も泥臭く野球をやりたい」