話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
遠藤保仁「俺自身がしたいのは……」
ガンバが失ったタイトルとスタイル。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/10/29 07:00
ガンバに2001年から所属し続けている遠藤。クラブの歴史を知るからこそ、現状について残すコメントも重みがある。
倉田、井手口、東口ら日本代表がいるのだが。
今シーズンのガンバは、無冠に終わることが決定した。
リーグ戦はACL圏内の3位はおろか、トップ5に入るのも厳しい。このままでは2012年の17位は抜きにしても、2008年の8位にも及ばずシーズンを終えてしまう可能性がある。
「2008年の時は、攻撃的なスタイルで途中からACLに重きを置いて戦った。リーグ戦はよくなかったけど、悪いなりに楽しいサッカーができたし、攻撃的なスタイルを貫くことができた。だから、ACLで優勝できたし、クラブW杯でマンUにもあれだけ戦えたんだと思う。今は相手に主導権を握られる試合が多い。それならそういう戦い方をしないといけないんだけど失点が多いし……なかなかうまくいかない。うーん……難しいね」
この遠藤の「うーん」と考える時間の長さと小さな溜息がガンバの現状を表していると言えよう。チームには日本代表の倉田秋、井手口陽介、東口順昭らがおり、彼らは個々で頑張っているがチームとしてのサッカーには物足りなさを感じている。浦和戦も「内容としては……」という声が多かった。本来すべきサッカーにブレが生じ、しかも勝てていないので楽しさも感じていないだろう。
「今日の試合、よかったよね」というものを。
残り4試合、ガンバは何をみせるべきか――。
「ガンバはここ10年間、シーズン終了まで常になにかのタイトルに絡んできたので、こういう何もない状況に慣れていない。モチベーション的に難しいけど、残り4試合、もっと相手の嫌がる攻撃をして、対戦相手に少しでも嫌がられるような試合をしたい。ボールを回しながら相手のほころびを突くとか、前からプレスがきても2、3個パスコースを作って状況を打破しながらスピードアップして攻めるとか、もっと自由に、みんな伸び伸びとやって、見ている人も俺らも“今日の試合、よかったよね”っていう試合を1つでも多くやりたい」
幸か不幸か残り試合のうちに、遠藤が好みと口にした川崎との試合が残っている。
ポゼッションと鋭い攻守転換を両立している川崎と戦って刺激を受けることもあるだろう。新しいスタイルは新監督の構想によるが、それでも何かしら手応えを掴み、不本意だった今シーズンの中で光明となるプレーをしてほしい。
形はどうあれ、「たまたま」や「なんとなく」の攻撃はガンバらしくない。