話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
遠藤保仁「俺自身がしたいのは……」
ガンバが失ったタイトルとスタイル。
posted2017/10/29 07:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
リーグ戦6試合連続未勝利。ガンバ大阪の現状だ。
10月22日の浦和戦では、3-3のドロー。敵地埼玉スタジアムで後半47分に追いついた展開はガンバの勝利への執念、粘り強さが発揮されたと言えるが、結果の中身を紐解いてみると、手放しで喜べない状態であることが分かる。
ガンバの3得点中、2得点はセットプレーからだった。
「それ(セットプレー)も大事だけど、最近はなんとなく前に行って、なんとなくチャンスになっているのが多い。相手を崩してビッグチャンスというシーンがほとんどない」
遠藤保仁が言うように現状のガンバは、ボールを回しながら相手の隙をついてスピードを上げたり、一気に攻めてスルーパスで沈めるなどの意図した攻撃がない。
もっとも長谷川健太が監督に就任した2013年以来、パスをつないで相手を動かして崩していく西野時代の攻撃スタイルを一新。守備主体でハードワークをこなし、アグレッシブに前に出ていってゴールを狙うスタイルに変貌した。実際に今季もホームでのセレッソ大阪戦やFC東京戦は、そのスタイルで勝った。
監督退任発表以降、チームの統一感が失われつつある。
だが今はそのスタイルさえ、ボヤけているように映る。厳しい言い方をすれば、何の特徴もないチームになっているのだ。
統一感が失われつつあるのは、9月上旬に長谷川健太監督の退任が発表されたことと無縁ではないだろう。
得意のカウンターを封じられ、ゴールを決められるスペシャルな外国人選手が存在しなかった。前線の外国人選手への依存度が高いガンバにとってそれは致命的で、攻撃がうまく機能していないことはシーズン当初から選手自身も感じていたはずだ。それでも長谷川監督の意図するサッカーを実現するために、との思いで戦っていた。
しかし監督退任が決定したことで、選手をつないでいたはずの糸がほつれている。