フランス・フットボール通信BACK NUMBER
リベリーがロッベンを殴って大人気!?
バイエルンを支える“ロベリー”の絆。
text by
パトリック・ソウデン&アレクシス・メヌーゲPatrick Sowden et Alexis Menuge
photograph byBernard Papon
posted2017/10/22 07:00
ロッベンとリベリーの活躍により、バイエルン、オランダ代表、フランス代表などそれぞれのチームは幸せな時代を過ごせたはずだ。
ふたりのライバル関係がバイエルンを強くしてきた。
ドイツの大衆メディアの多くは、格好の話題を提供してくれるド派手な“FCハリウッド(かつてビセンテ・リザラズがローター・マテウスを殴った例を思い浮かべればいい)”が復活したと大いに喜んだ。
観客もまた大喜びで、このふたりの敵対関係はアリアンツ・アレナの主役に躍り出たのだった。以来、“バッドマン(悪い人=リベリー)とロベン(ロッベン)”と名づけられたふたりのアメコミ風覆面ヒーローへの喝采は鳴りやむことがない。
だが、そのふたりのライバル関係が、バイエルンをヨーロッパの頂へと誘ったのは間違いない。
チャンピオンズリーグでは決勝に3度進出し――2010年(インテルに敗れる)、2012年(チェルシーに敗北)、2013年(ドルトムントに勝利)――ブンデスリーガを6度も制覇している。
サポーターからも絶大な人気を誇る“ロベリー”。
どちらかといえばリベリーがパサー、ロッベンがフィニッシャーの色合いが濃い。
ふたりで挙げた得点は実に212点。アシストも200を超える(ともにすべての公式戦の合計)。
「ふたりの共通点は、勝利への激しい闘志だ」とユップ・ハインケスはいう。
「最高のキャリアを築きあげるために全力を尽くしている。チャンピオンズリーグでの働きは特筆もので、なかでも極めつけは2013年決勝戦での決勝ゴールだ(終了1分前にロッベンが決めた)。
ふたりはそれぞれのやり方でクラブの歴史に刻印を刻んだ。サポーターのお気に入りであるのも、彼ら自身がバイエルンというクラブを体現しているからだ」
クラブの監査役会長であるウリ・ヘーネスも、「ふたりはバイエルンのクラブ史上ベストイレブンに入る」という。
そんなふたりを、いつしか巷では“ロベリー”と呼ぶようになった。
「ロベリーこそはバイエルンの生命保険だ」と今年初めに『ビルト』紙は銘打っている。
元バイエルンのディフェンダーであったトーマス・ヘルマーはふたりをメッシと比べてこう述べている。
「バルセロナと対戦するとき、メッシがいるかいないかで大きな違いがある。バイエルンのロベリーも同じだ。相手に与えるインパクトがまったく違う」