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ACL上海戦は、楽しい試合になる。
浦和にピッチで見せてほしい「勇気」。 

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近藤篤

近藤篤Atsushi Kondo

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photograph byAtsushi Kondo

posted2017/09/27 07:00

ACL上海戦は、楽しい試合になる。浦和にピッチで見せてほしい「勇気」。<Number Web> photograph by Atsushi Kondo

浦和レッズは今もダントツでJリーグ最多の観客を集めるチームである。スタジアムで観戦する彼らを失望させてはいけないのだ。

なんでこういうゲームがリーグ戦でできないのだろう。

 前半を1-1で折り返したレッズは、後半に入ると怒涛の攻撃を開始した。川崎が攻撃を捨て、完全に重心を後方に置いたと見るや、レッズの堀監督は63分、守備の要であるマウリシオをあえて引っ込め、代わりにFWのズラタンを投入した。これは勇気ある決断だった。そのズラタンが7分後レッズの2点目をヘディングで叩き込み、さらにラファエル・シルバ、高木俊幸がゴールを重ね、浦和レッズは今季のACLノックアウトステージにおいて2度目の逆転劇を演じることとなった。

 辛いシーズンにあって、浦和レッズファンにとってACLという舞台は至福の時間を与えてくれる場となった。そして同時に彼らはこうも思ったに違いない。なんでこういうゲームを、リーグ戦で見せられないのだろうか?

上海との試合は、楽しい試合になる条件が揃っている。

 ACLにおける次の相手は中国の強敵、上海上港である。チームを率いるのはポルトガル人監督ビラスボアス(33歳でヨーロッパリーグを優勝したあの監督である)、助っ人外人はブラジルからフッキ、エウケソン、オスカル(この3人がいればヴァンフォーレ甲府だってJリーグで優勝できるに違いない)、ポルトガル人DFリカルド・カルバーリョ、そしてウズベキスタン代表のアフメドフである。そして彼ら助っ人外国人の周りを囲む中国人選手の3分の1は中国代表、もしくはそれに準ずるレベルの選手たちだ。

 戦力だけで考えれば、どう見ても上海は浦和の上を行っている。しかし浦和レッズはこの上海とすでに今季のACLグループステージで2度戦い、アウェーでの試合は2-3で敗れたものの、ホームでの試合は1-0で勝っている。内容は明らかに上海が押し気味に試合を進め、ホームでの試合では上海のオスカルが2度もPKを外してくれたが、とにかく戦績は1勝1敗だった。狸に皮算用を頼めば、もしこれがACL決勝トーナメントならば、アウェーゴール数でレッズは上海を上回ることになるよ、と教えてくれるだろう。

 しかし僕はタヌキではないので、まあ普通に事が進めばやっぱり上海かな、と思ってしまう。同時に、僕は浦和レッズのファンなので、相手が強敵である分、レッズにとって戦いにくい相手ではない、とも思ってしまう。気負う必要もなければ、過度のプレッシャーを感じる必要もない。これだけたくさんのものをすでに失ってしまったシーズンである。今更もう1つの可能性を失うことを恐れる必要もないだろう。

 すごく漠然とした言い方になってしまうが、勇気を持って前へ向かう、そういうサッカーをスタジアムは望んでいるような気がするし、なぜかACLでの浦和はそういうサッカーができている。

 上海での第1戦がどういう結果に終わろうとも、埼玉スタジアムでの第2戦が楽しめるゲームになることは間違いない。オスカルだってまた2回連続でPKを外してくれるかもしれないし。

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