JリーグPRESSBACK NUMBER
ACL上海戦は、楽しい試合になる。
浦和にピッチで見せてほしい「勇気」。
posted2017/09/27 07:00
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph by
Atsushi Kondo
今この原稿を書いている時点で、J1リーグは27節を消化している。
浦和レッズは7位の座に甘んじ、首位の鹿島アントラーズに勝ち点20の差をつけられている。だから、優勝の望みは、なくはないけれど、ほぼない。
ルヴァンカップでは、1カ月ほど前にベスト8ステージでセレッソ大阪と対戦し2引き分け、アウェーゴールの数で敗れ去った。
天皇杯は先週の水曜日、熊谷市で行われた宿敵鹿島アントラーズとの試合を2-4で落とし、ベスト16で姿を消すこととなった。
なぜここまで落ちてしまうのか、それが正直な印象である。昨シーズン、チャンピオンシップは逃したものの、リーグ最多の勝ち点74、特に前半戦の戦いは見事の一言に尽きた。その土台を更に強固なものにしてさあ今年こそ、と臨んだ2017シーズンだった。それだけに、ホーム埼玉スタジアムを覆う消耗感は濃い。
春先から今年のチームはチグハグだった。昨季リーグ2位だった攻撃陣は流れるようなコンビネーションを突如失い、昨季リーグ1位だったディフェンス陣は個々のレベルでもグループとしてもありえないようなミスを連発した。しかしミハイロ・ペトロビッチ監督は新しい選手をほとんど試すことなく、使い慣れたレギュラー陣に固執した。
流麗な逆転ストーリーがあったのかもしれないが……。
負のスパイラルが極まったのは、7月29日の北海道コンサドーレ札幌戦だ。
この試合を迎えた時点で、レッズはすでにリーグ戦で8つの黒星を重ねていた。1点をリードされた前半39分、槙野智章が交錯して倒れた相手を踏みつけ、退場を宣告される。しかし相手は札幌である。両チームの実力差を考えれば、たとえ1人少なくとも同点、うまくいけば逆転、は十分に狙えた。
ハーフタイムの15分が過ぎると、ペトロビッチ監督はいきなり3枚同時に札を切った。試合後の記者会見で、これはいけるという考えのもとで3人の選手を一気に代える決断を下した、と彼は語った。監督自身は頭の中に流麗な文章で逆転勝利へのストーリーを記したつもりだったのかもしれない。が、側から見ればその決断は無謀な策にしか見えなかった。