スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
ネイマール売却290億円が無駄金に?
バルサフロント、強化戦略が迷走中。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byAFLO
posted2017/08/19 07:00
スペインスーパー杯でレアルに完敗。ネイマール離脱に続き、スアレスも負傷離脱し、序盤戦の“メッシ依存”は避けられそうにない。
コウチーニョ以外の補強候補は首を傾げたくなる。
その意味ではネイマールの売却で手にした2億2200万ユーロ(約290億円)の使い道が重要になってくるのだが、クラブの動きからはいまいち何がしたいのか見えてこない。
ネイマールの代役として狙っているフィリペ・コウチーニョはまだいい。スピードや突破力、得点力ではネイマールに劣るものの、テクニックや周囲との連動性が高い彼は、アタッキングサードにおける崩しの場面に必要な意外性をプラスしてくれることが期待できる。
しかし、それ以外に挙がっている補強候補は、首を傾げたくなる選手ばかりだ。
例えばウスマン・デンベレは、足は速いがテクニックも得点力もネイマールとは比較にならない。そんな選手の獲得に、ネイマールの獲得費用を上回る1億ユーロ超のコストをかけるなんて馬鹿げている。
既に獲得が決まってしまったパウリーニョもしかりだ。ヨーロッパでたいした実績を残さぬまま29歳を迎えた選手に、クラブ史上4番目に高い移籍金4000万ユーロを払う価値が本当にあっただろうか。ちなみにバルサが払った移籍金のベスト3は1位:ネイマール、2位:スアレス、3位:イブラヒモビッチである。
セルジ・ロベルトを手放しては何の意味もない。
そもそも快速ドリブラーならデウロフェウ、フィジカルや機動力、得点力に優れたインサイドハーフならセルジ・ロベルトが既にいるではないか。
買い戻しが決まる前からチームに残るかどうかが疑問視されていたデウロフェウはまだしも、昨季に複数ポジションで優れたパフォーマンスを見せたセルジの元にはマンチェスター・ユナイテッド、チェルシーなど複数のビッグクラブからオファーが届いている。
右SBを補強した今季は本職の中盤でプレーする機会が増えると期待していた矢先、クラブは彼と特徴がかぶるパウリーニョを獲得した。ここまでプレシーズン中の扱いもラキティッチ、イニエスタの控えにとどまっていることで、セルジは移籍を真剣に検討し始めたという。