フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ハリルホジッチは2度も得点王に!
栄光の1983年、ナントのイレブン達。
posted2017/08/17 08:00
text by
ロベルト・ノタリアニRoberto Notarianni
photograph by
L'Equipe
『フランス・フットボール』誌は、毎号の巻末に「彼らは今どうしているか?」という連載を掲載している。歴史に残るチームをひとつ取り上げ、その選手たちが現在はどんな仕事、どんな生活をしているかを伝えるページである。
実はこの企画は、もともとは『レキップ』誌のもので、筆者も同誌のために何人かの日本人アスリートを取材したことがある。フランスではこうした懐古ものは、日本とは異なりどこでもよく企画されている。
7月25日発売の『フランス・フットボール』誌で取り上げているのが、1982~'83シーズンに6度目のリーグ優勝を果たしたFCナントである。
ナントというクラブは、日本での知名度はイマイチかも知れないが、フランスではマルセイユやサンティエンヌと並ぶ歴史と伝統のあるクラブとして認知されている。特に伝説の名監督ジョゼ・アリバス(1960~'76年に監督)が築きあげ、ジャンクロード(ココ)・スオドゥ('82~'88年、'91~'98年に監督)が受け継いだナント・スタイルは、ショートパスを小気味よく繋ぐスピーディなプレースタイルで、フランスサッカーの源流のひとつであるといえる。また、ナントは、若手の育成でもオセールと並んで定評があり、ディディエ・デシャンやマルセル・デサイー、クリスチャン・カランブーといった選手たちが育成組織から巣立っている。
そのナントが、クラブの象徴的存在であったアンリ・ミシェルが現役引退した翌年の1983年シーズンにリーグ優勝を果たした。ロベルト・ノタリアニ記者が紹介するメンバーを改めて見ると、充実ぶりに驚かされる。たしかに得点王となったヴァイッド・ハリルホジッチの存在は大きいが、ゲームメイカーのトゥーレをはじめGKのベルトランデマン、DFのボッシ、アヤシュ、テュソー、リオ……。フランス代表の選手たちが長くクラブに在籍しながらチームを支えていたことがよくわかる。
彼らが今何をしているのか。ノタリアニ記者の調査結果を読んでいただきたい。
監修:田村修一
名GKは引退後に不動産業を始め、成功を収めていた。
今から34年前、彼らはフランスチャンピオンに輝いた。そして今は?
●ジャンポール・ベルトランデマン:GK、65歳、不動産コンサルタント
フランス代表11試合。'78年アルゼンチンワールドカップの正GKであった彼は、プロキャリアのすべてをナントで過ごし、1969~87年の間に650試合に出場した。引退後はまったく別の道に進み、不動産の世界に進出してナント地域の税務および投資に関するコンサルタント会社を設立。2012年、息子に職を譲るまで仕事を続けた。今日ではボルドーにも事務所を開いている。
●ウィリアム・アヤシュ:SB、56歳、元エージェント
フランス代表20試合。'84年ロス五輪(金メダル)、'86年メキシコワールドカップ時の右SBでもあった彼は、'95年に現役引退した後はテレビ解説者を務めた。'14年夏にスカウトとしてFCナントに復帰。'17年1月までオリビエ・モンテルビオ、ベルナール・ブランシェとともにスカウト活動に従事した。現在はカンヌ近郊のムージンに在住。