Jをめぐる冒険BACK NUMBER
浦和が陥った疑念と負のスパイラル。
ペトロヴィッチ監督解任と、今後。
posted2017/08/04 11:30
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
「監督は就任した瞬間から退任へのカウントダウンが始まっている」
そう言ったのは誰だったか。今季のJ1の監督人事は、その言葉の正しさを証明するかのようだ。
7月30日、12年から5年半、浦和レッズの指揮を執ってきたミハイロ・ペトロヴィッチ監督が解任された。
今シーズン、志半ばでクラブを去ったJ1の指揮官は、三浦文丈(アルビレックス新潟)、渋谷洋樹(大宮アルディージャ)、石井正忠(鹿島アントラーズ)、森保一(サンフレッチェ広島)に続き、これで5人目となる。
驚くべきは、その顔ぶれだ。ペトロヴィッチ監督は浦和を2シーズン連続してチャンピオンシップ出場へと導き、昨季はルヴァンカップを獲得した。森保監督は2012年、2013年、2015年のJ1優勝監督で、石井監督は2016年のJ1優勝監督である。クラブにタイトルをもたらしたというのに、この末路――。監督の命は、カゲロウのように儚い。
浦和の山道守彦強化本部長は、解任の理由についてこう語った。
「4月下旬の大宮戦以降、勝ち星がなかなか得られず、失点の多い試合が増えて敗戦が続いていた。我々の目標(リーグ優勝)に対して結果が伴わないなか、内容も含めて改善の兆しがあまり見られなかった」
シーズン序盤は大量得点の圧勝を続けていたのに。
9節のさいたまダービーを0-1で落とした浦和は、それ以降のリーグ戦12試合で3勝1分8敗と、勝点を10しか積み上げられなかった。浮上のきっかけを掴めないここ数試合の戦いを見れば、何かを変えなければならない状況だったことは確か。解任もやむを得ない判断だったと言える。
もっとも、今季の浦和がシーズン序盤から不調だったわけではない。むしろ、大宮に敗れるまでは爆発的な攻撃力を発揮し、大量得点による大勝を続けていたのだ。
2月21日 ACL1節 ウェスタン・シドニー ◯4-0
2月28日 ACL2節 FCソウル ◯5-2
3月4日 J1・2節 セレッソ大阪 ○3-1
3月10日 J1・3節 ヴァンフォーレ甲府 ○4-1
4月1日 J1・5節 ヴィッセル神戸 ○3-1
4月7日 J1・6節 ベガルタ仙台 ◯7-0
4月26日 ACL5節 ウェスタン・シドニー ◯6-1