“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高校サッカー真夏の祭典・インハイ。
優勝候補校と注目選手を一挙紹介!
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/07/28 12:00
ベガルタ仙台ジュニアユースからユースへ昇格せず青森山田へやってきた郷家(ごうけ)友太。高校生活最後の夏で、有終の美を飾れるか?
郷家友太、中村駿太だけでなく才能が集まる青森山田。
青森山田も東福岡同様、MF高橋壱晟(千葉)、GK廣末陸(FC東京)と2人の有力選手が卒業していったが、今年も2人のプロ入り濃厚選手がいる。
昨年からのレギュラーであるMF郷家友太と、柏レイソルU-18から今年加入したFW中村駿太だ。
攻撃の鍵を握る2人がこのチームの軸となるが、実は東福岡同様にその周りの選手の質が高い。
来年はプロのスカウトが獲得に乗り出すであろう2年生MF壇崎竜孔、正確な左足のキックと確かな戦術眼を誇るアンカーの堀脩大は必見。さらに、鍵山慶司と佐藤拓海の両サイドバックは共にフィジカルに優れ、ヘディングの強さとスプリント力を持ち、両サイドから果敢な攻撃を繰り出してくる。
プレミア・イーストでも強豪Jユースに対し、大崩れすること無く、チャンスをモノにして勝ち切るなど、チームとしての粘りや勝負強さを発揮しており、全体を見渡しても、今大会の優勝候補筆頭に挙げられるのは間違いない。
高校選手権決勝で0-5で敗北した前橋育英と因縁対決も。
この2回戦最大の好カードとなる一戦を勝ち上がっても、まだ試練は続く。
それは3回戦の相手が前橋育英(群馬)となる可能性が高いからだ。
前橋育英と言えば、昨年度の高校選手権決勝で青森山田に0-5という屈辱的な敗戦を喫した記憶が新しい。その時のメンバーが大半残っており、すでにプロ入りが内定した選手がいる“全国屈指のタレント集団”となっている。
アルビレックス新潟に入団が内定をした左サイドバックの渡邊泰基を筆頭に、やはりプロ入り濃厚のCB松田陸と、すでに“あるJクラブ”から正式オファーを受けているCB角田涼太朗、そして右サイドバックの後藤田亘輝の4バックは、すべて昨年からのレギュラーのまま。経験値が増した彼らが、安定した守備を誇るのが最大の強みとなっている。
アタッカー陣を見ると、昨年からのメンバーであるボランチのレフティー・田部井涼、右サイドアタッカーの田部井悠、FW飯島陸が得点までの流れを作っているが、実は2年生選手たちも頭角を現してきている。
185cmのFW榎本樹、爆発的なスピードを持つFW室井彗佑、得点感覚に秀でたFW高橋尚紀の3人がレギュラー争いを激化させており、さらにチーム力が増していく余地を残しているのだ。
もしここで前橋育英vs.青森山田の一戦が実現したとしたら……前橋育英にとっては最大のリベンジのステージとなるわけだ。
「あの決勝の0-5は一生忘れないし、絶対にこのままでは終われない。リベンジすることが僕らの1つの目標なんですから」と、キャプテンの田部井涼が語るように、前橋育英の選手達にとって、この「3回戦」は特別な意味を持っている。
だが、有力優勝候補といえる3チームの潰し合いを勝ち抜いたとしても、さらに試練が続くのだ。