高校サッカーPRESSBACK NUMBER
平日は不動産業、土日は「サッカーが休日です」J入りしなかった“高校サッカー得点王”江原淳史51歳の今「それ以外で賑わす子も出てくれば…」
posted2025/02/06 11:03

かつて高校サッカー選手権得点王に輝いた江原淳史さん。今は中学生年代の指導に携わる
text by

生島洋介Yosuke Ikushima
photograph by
Hideki Sugiyama
休みはサッカーで取れてるんですよ
かつて武南高校のエースストライカーとして活躍した江原淳史は、大学サッカーを中退して以降思わぬきっかけから俳優業を始めた。その後は様々な業種に身を置き、サッカーから縁遠くなっていた。
サッカーとの距離感を見つめ直す契機は30代に入って訪れた。第2回でも触れた通り、小中学校の同級生・長岡修が地元にアヴェントゥーラ川口というサッカークラブを立ち上げ、江原もそこに携わることになった。
一方、当時の江原はもつ焼き屋や焼き鳥屋のフランチャイズ本部となる会社に在籍していた。加盟者を見つけ、お店の条件調査をして出店を手伝い、軌道に乗せて引き渡す。ときには本社営業の焼き鳥屋にも立っていた。独立志向の強かった創業メンバーはやがて抜けていき、気がつくと残っていたのは江原だけだった。
ADVERTISEMENT
「なかなかアヴェントゥーラに関われなくなって。で、自分の中でアウトになっちゃったんです。普通に考えれば会社の仕事がメインで、サッカーはサブなんですけどね。ただ、今でも思ってるのは、サッカーがメインじゃないと、会社の仕事も動かないってこと。『いつ休みを取ってるんですか?』ってよく聞かれるけど、休みはサッカーで取れてるんですよ。もちろん会社の仕事は頑張らなきゃいけない。でもサッカーがなくなったらこっちも潰れちゃうんです」
尊敬されたくないし、出世したくないし…って
江原は現在、埼玉県内の不動産会社に勤務し、不動産の売買や賃貸物件の営業、管理などを仕事としている。アヴェントゥーラ川口での活動に時間を割くため、5年ほど前に転職したのだった。
次々と新しい業界に飛び込み40歳を過ぎて落ち着いた先が、平日はサラリーマンとして働きながら、時間の許す限りジュニアユースの監督として動き回れるいまの環境だ。一度は離れたサッカー界に戻ってきた理由は……。江原はこう語る。