球道雑記BACK NUMBER
引退決断の井口が最も目をかける男。
“言われやすいタイプ”の清田育宏。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2017/07/10 11:30
伊東監督からの期待も厚い清田。その潜在能力は抜群だけに、井口の言葉を胸に復調を果たせるか。
人知れず悩む清田の姿が井口の目には映っていた。
清田は2015年に130試合出場、打率.317、15本塁打を記録し一躍ブレイクを果たした。しかし、昨年と今年は思うような結果を残せていない。結果や周囲の声を気にしないように振舞ってはいるが、結果が出ないという現実がある中で、ネガティブな情報を全てシャットアウトすることは難しい。人知れず悩む彼の姿が井口の目には映っていた。
「切り替えとかをちゃんとした方が良いという話をよくしました。どうしても悩んだりメンタルに左右されるタイプなので、そこで大切なのは気持ちの切り替えだったりするので、それでも調子が悪いときは、わざとくだらない話を振ったりしてね。それでリセットできたら良いなって目で見ていました。
技術はね、一軍で3割打つようなバッターですから、今さら言うこともないですし、ポイント、ポイントではあっても、やっぱりメンタルだったり気持ちの持って行き方だったり、そっちの方が彼の場合は大きいので」
清田自身もメンタルトレーニングの知識はそれなりに持っている。清田からメンタルについてアドバイスを受けたという話も、若手選手からチラホラと聞く。それでも当事者となると気づけなくなるのも、人の性でもある。
“言われやすいタイプ”だから気をつけてほしいこと。
井口はさらにこう話を続けた。
「首脳陣に“言われやすいタイプ”っていると思うんです。清田もそのタイプなので、相手の話を聞きながら、聞き流すと言ったらおかしいんですけど、言われたことを引きずらないようにすることが大事だよ、って話をしました。もちろん言われたことを自分の頭でちゃんと理解することは大事です。
ただ、理解の仕方も十人十色で違いますし、言われたことを良いように自分が受け取っていけばいいだけの話だと僕は思っている。そこで“言われたから、注意されたから”という受け取り方するのではなく、それをプラスの方向に持って行けるような考え方を持ったが良いんじゃないかって話しをしました」
井口は技術的なアドバイスを自ら進んで他の選手にすることはしない。彼が話すのはあくまで自分の経験談であり、それを鵜呑みにしないように参考程度にとどめ、あとは自分の頭で考えるようアドバイスをしている。