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北朝鮮代表での最初は“おまけ枠”。
引退のJリーガー安英学、代表での日々。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byTakamoto Tokuhara/AFLO
posted2017/04/11 11:30
2011年9月に行われた日本vs.北朝鮮戦での安と李忠成。結果は1-0で日本代表が勝ったが、激戦だった。
多大なる貢献が認められチームで地位を築く。
平壌でのタイ戦ではこんな結果が待っていた。
「完全にスイッチが入った状態でした。後半5分すぎに相手GKがパンチングではじいたボールがこちらに飛んできた。これを胸トラップをしたときに、周りは『パスをよこせ』と言ってるんだけど、頭の中は空っぽで。夢中で左足ボレーを放った。これがスパーッと決まって。さらに終盤にドリブルで持ち込んで右足のミドルシュートを決めた。ここから代表でもレギュラーを掴んだんです。最終予選では、本来のボランチで使ってもらえるようになって」
試合は4-1での勝利。安はチームの2次予選突破に大きく貢献した。温厚な表情の裏で、代表では“ここぞ”という勝負所で2度勝ちを収め、その地位を築いていたのだった。
世界で戦った立場から俯瞰する日本代表の今。
さらに4年後、'10年には南アワールドカップ本大会に出場した。
そこでは「グループリーグ出場選手中最高距離を走った選手のひとり」になったとされている。本人としては「世界の舞台での経験を一秒たりとも無駄にしたくなかった」との考えがあった。
'06年、'10年、'14年と3度のW杯アジア予選、そして1度の本大会を代表チームで経験した。そして10年間のJリーグでのプレーを通じ、日本代表にも友人がいる。だからこそハリル・ジャパンの様子にも大きな関心がある。
「南アで戦ったブラジル、ポルトガル、コートジボアールの攻撃はすべて“怖い”という印象でした。縦に攻めて来るからです。最近のハリルホジッチ監督のチームは縦に速いスタイルでしょう。よくなっていると思うんですよ。
自分が対戦した頃のチームは、ゆっくりつないできた分、怖さという点では世界の強豪とは違う面がありましたから。今の日本代表には、ぜひロシアに行ってほしいですね」