フランス・フットボール通信BACK NUMBER
スペイン代表の黄金時代も今や遠く――。
ロペテギ現監督が考える次世代構想。
posted2017/04/06 08:00
text by
フレデリック・エルメルFrederic Hermel
photograph by
Sergio enrquez-Nistal/Marca/Iconsport
3月28日発売の『フランス・フットボール』誌では、発売日におこなわれたスペインとの親善試合(スタッド・ド・フランス、0-2でフランスの敗北)に向けて、「ある視点」欄でフレン・ロペテギ・スペイン代表監督を取り上げている。
黄金時代が終焉を迎えた後に、ロペテギはいかにしてチームを再建しようとしているのか――。
フレデリック・エルメル記者がテーマごとにロペテギ自身のモノローグの形で描き出しているのは、彼の監督としての哲学でありコンセプトである。同日に発売された『レキップ』紙のインタビューのような具体性には欠けている分、ロペテギのサッカー観は逆に際立っている。彼がスペインのサッカーをどう捉え、何をしようとしているかがよく伝わってくる。
監修:田村修一
ロペテギの流儀をひとつずつ説明していくと……。
EURO2016の後にビセンテ・デルボスケの後を継ぎスペイン代表監督に就任したフレン・ロペテギは、“ラ・ロハ(スペイン代表の愛称)”の遺産を継承しながら独自のタッチをそこに加えようとしている。
スペインの復活を託されたロペテギが、自らの方法論を語った。
<後ろを振り返らない>
「過去を回想する利点はひとつしかない。
美しい思い出にひたって幸せな気持ちになることだ。
スペインは歴史上なかった偉業を成し遂げた。たしかに1964年にもEUROを制覇したが、ワールドカップ優勝をはさんでEUROを連覇するなど誰もなしえなかったことだった。その誇りはこれからもずっと持ち続けるべきだが、今日のわれわれは過去を振り返るべきではない。しっかりと前を向いて自分たちの道を切り開かねばならない。
他に比類なきほど偉大な選手たちの世代があった。だがその世代にこだわり続けることが、大きなエネルギーの損失をもたらした。
私のプランは明確だ。
新たな世代に信頼を寄せ、彼らのために道筋をつけること――近年築きあげた莫大な遺産を受け継ぎながら。
たしかにブラジルワールドカップ(グループリーグ敗退)とフランスでのEURO(ベスト16敗退)は酷かったが、私が引き継いだのは優れた能力とモチベーションに溢れたグループだ」