フランス・フットボール通信BACK NUMBER
スペイン代表の黄金時代も今や遠く――。
ロペテギ現監督が考える次世代構想。
text by
フレデリック・エルメルFrederic Hermel
photograph bySergio enrquez-Nistal/Marca/Iconsport
posted2017/04/06 08:00
指導者としてスペイン代表のユース世代を数年率い、今回のA代表監督就任前はポルトの監督を務めていた。
<最も有益な選手を選考する>
「選手選考の基準はひとつしかない。
代表にとって最も有益な選手、個とチームのパフォーマンスを向上させることのできる選手を選ぶことだ。
私は旧い世代の選手たちもある程度は維持しながら、新たな選手を招集した。後者は私がスペインU-21代表監督だった当時から良く知る選手たちだ。彼らはイスラエルでおこなわれた2013年のEURO・U-21選手権に優勝した。だが、彼らの何人かをA代表に呼んだのはそれが理由ではない。単なる進化の問題だ。
それに彼らには、私が代表に求める質の高さがある。すでにお互いをよく知っていることも、大きなメリットであるといえる。
だが、私が本当に期待するのは世代の融合だ。
代表ですべてのタイトルを獲得し、クラブでも確固たる地位を確保している選手と、新たにチームに加わった選手たちの。
ベテランたちの経験を共有するのは若い選手たちに有意義で、チームへの適応も容易になる。選手はヨーロッパ全域に分散しているから、彼らをひとつに集めるのは、異なる雰囲気、異なるサッカー文化の融合でもある。そこから私は、ほとんど時間をかけずにひとつの均一なものを作りださねばならない。
とはいえ彼らには、スペインで育成されたという共通のベースがある。だからたとえリーガ以外のリーグに所属していても、さほど違和感を感じることなく代表に入ってこれる。私の選考も、そのコンセプトに基づいておこなわれている」
<スペイン独自の技術的モデルをより豊かにする>
「スペイン人選手の技術、戦術、フィジカルのベースは申し分ない。そこには何の疑いもないから、私が追求するのは彼らの多岐にわたるポテンシャルをいかに引き出し、向上させていくかだ。それこそがわれわれの挑戦であり、選手たちも同じスピリットを抱いているのはよくわかっている。
他の国々と同様に、スペインは常に優れた選手を輩出している。同じ時代にそれぞれのポストに世界最高の選手がいて、彼らとともにひとつのスタイルを進化させたことが、ひとつの潮流を作りあげた。それをわれわれも尊重し、彼らの質の高さをベースにしているのも事実だ。
私は監督として、そこに戦術的なニュアンスを加味していくが……どんなシステムであれそれはスペインというモデルの指標となるものだ。スペインでは何よりも技術的に優れた選手が、ボールと戯れながら育てられている。しかしサッカーは、技術的な優位性だけで成り立ってはいない。
私の仕事は選手たちの他の要素――とりわけプレーにおける知性とフィジカルのバランスを伸ばして、卓越したサッカーという究極の目的に到達することだ」