サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
押し込まれ、振り回された4-0。
タイに苦戦するハリルJの真実。
posted2017/03/29 11:25
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Takuya Sugiyama
ロシアW杯の出場を争うサウジアラビアやオーストラリアの関係者たちが、日本対タイ戦の結果を映像より先に文字で確認したら――。前半2-0、後半2-0というスコアから、日本の快勝を思い浮かべるに違いない。
現実は、まるで違う。
危険な兆候は、キックオフ直後の5分に読み取ることができた。
両チームを通じて最初のシュートをタイに許した流れを巻き戻すと、敵陣左サイドでのボールロストに辿り着く。最終ラインからボールを運んだ森重真人が、中途半端なパスをカットされてしまう。ポジションをスライドするよりも早く右サイドへ展開され、クロスボールのクリアをフィニッシュへつなげられてしまった。
それでも日本は、開始8分に先制弾をマークする。森重のフィードが右ウイングの久保裕也へわたると、UAE戦で1得点1アシストの23歳がタテへ持ち出す。グラウンダーのクロスがペナルティエリア内の香川真司へつながり、キックフェイントでシュートコースを作り出した背番号10が、右足の強烈なシュートを突き刺した。
最終予選で初めて、前半に2点目を取ることに成功。
ここまで消化した6試合で、日本は4勝をあげている。勝ち点3をつかんだゲームのスコアは2-0か2-1のどちらかで、前半のうちに2点目をあげたことはない。それこそがクロスゲームを強いられてきた要因だが、この日は19分に追加点をマークする。
CKのセカンドボールが最終ラインまで下がり、長友佑都が右サイドへ展開する。CKの流れで前線へ残っていた森重がボールを落とし、久保がニアサイドへピンポイントの高速クロスを供給する。
ここに、岡崎慎司が飛び込んできた。UAE戦で負傷した大迫勇也に代わってCFで起用された背番号9が、右ポスト際の狭いコースにヘディングシュートを叩き込んだ。