話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
“DFW”矢野貴章、今や本当のDF。
レオ・シルバ後の新潟で影の番長に。
posted2017/03/26 11:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
アルビレックス新潟の右サイドバック・矢野貴章と横浜F・マリノスの左サイドハーフ・齋藤学の“ガチバトル”は、なかなか見応えがあった。
3月18日に行われたJ1第4節の試合は1-1のドローで、ともに決定機を決められず、やや停滞した内容だったが、彼らのサイドは熱かったのだ。
矢野は齋藤とこれまで何度か対戦しているが、かなり警戒をしていたという。
「彼(齋藤)は得点を取れるし、決定的なパスも出せる。ドリブルを自由にさせたら恐い選手なのでスピードに乗らせないように、フリーでドリブルさせないようにと考えていました。基本的に駆け引きがうまいので、どんな場合にも対応できるポジション取りをしていました」
同じタイミングで走るなら、負けない自信があった。
矢野は齋藤にボールが入った時、3mぐらいの間合いを取って対応していた。スピードでは負けない自信があったので、外に追い込めば対処しやすいと踏んでいた。実際、スピードでは負けていなかった。
象徴的なのは後半28分のシーンで、マリノスの金井貢史から裏に出されたボールに対して“ヨーイドン”で二人がスタートしたが、矢野がマイボールにした。ドリブルをしながらスピードに乗った齋藤を止めるのはもちろん厄介だが、いわゆる素走りでは負けていなかったのである。
「自分はスピードがありますし、同じタイミングで走るなら負けない自信もあります。それがあってのポジションの取り方をしていました」
齋藤対策は矢野自身の1対1の対応だけではなく、周囲のサポートも大きかった。加藤大が全速力で寄せてきて、2対1にして齋藤の動きを制限した。