野球善哉BACK NUMBER
センバツV候補に屈した2人のエース。
桜井周斗と山口翔、視線はもう夏へ。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2017/03/22 11:30
ナインから励まされ、9イニングを投げ切った山口。9失点の悔しさは、最後の夏に晴らすと心に誓っている。
140km程度でも、安田と若林をきりきり舞いに。
「点は取られるだろうから、いかにうちが点を獲るか」
ゲームプランをそう立てていた日大三・小倉監督は、1回裏に先頭の井上大成が四球で歩くと、盗塁を仕掛けて無死二塁。手堅く送る作戦は取らず、2番・大西翔の適時三塁打で1点を先制。さらに4番・金成麗生の一塁ゴロの間に1点を追加した。
この先制点で桜井は勢いに乗った。
ストレートの最速は140kmを超える程度だが、何より思い切り腕を振っての縦のスライダーは秀逸だった。
3回に1点を返され2死一、二塁のピンチで安田を迎えたが、またも空振り三振に切って取った。4回表には若林から三振を奪った。
8回を投げ9失点、結果だけで見れば厳しいが……。
しかし、簡単にひき下がらないのが履正社打線だった。
5回、1死二、三塁とされると、石田に3ラン本塁打を放たれる。桜井にとってみれば「ややカーブみたいになってしまったスライダー」に反応されての一撃だった。それでも桜井はその後に迎えた安田はまた三振。6回には4番の若林も3打席連続三振に抑えた。
だが、7回表にはまた下位打線から好機を作られ、2番の溝邉冬輝に適時打を浴びた。
履正社の3、4番から8回までで7奪三振。桜井は主力相手には圧巻のピッチングを見せたものの、5-5で迎えた9回に力尽きた。
先頭に四球を与えると一旦、センターへ退く。日大三が1点を失い、安田を迎えた場面でまたマウンドに登ったがフェンス直撃の適時二塁打、続く若林にも適時打を浴びた。
結局、8回0/3を投げ9失点(自責は7)で、桜井は敗戦投手となった。
13奪三振を奪う力投を見せながらの敗戦。結果だけで語れば、昨秋の早実戦とは変わらない結末となった。