野球善哉BACK NUMBER
センバツV候補に屈した2人のエース。
桜井周斗と山口翔、視線はもう夏へ。
posted2017/03/22 11:30
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Kyodo News
第89回センバツ高校野球が開幕した。
19日の初日には昨秋の神宮大会を制した履正社(大阪)と昨年の覇者・智弁学園(奈良)が登場。対戦相手となった日大三(東京)と熊本工がこの両王者とどう組むか注目された。
結果は下馬評を覆すことはなく、履正社と智弁学園が勝利。ともに近畿代表が初戦を突破した。その中で勝敗だけではなく、敗戦したチームの投手が「いかに戦ったか」に焦点を当てて2試合を振り返りたい。
履正社vs.日大三は、桜井が安田に真っ向勝負した。
まず、大会屈指の好カードと言われた履正社vs.日大三。
履正社は、投打にタレントを揃える。特に攻撃面では、早実の清宮幸太郎と双璧と言われるスラッガー・安田尚憲がおり、4番は主将も務める若林将平が構える。1番の石田龍史から打線に切れ目がなく、投手としても大黒柱の竹田祐が6番できっちり仕事を果たす。
昨秋はエース竹田の安定感と破壊力のある打線で、近畿大会、神宮大会を制した。
一方、対する日大三も負けてはいない。
東京都大会決勝では早実に敗れて準優勝となったものの、その試合でエース左腕の桜井周斗は清宮を圧巻の5三振に切って取る快投ぶりで一躍その名をとどろかせた。
いわば、履正社vs.日大三のカードは、神宮大会で早実を破った履正社に、早実と接戦を演じた日大三が組んだ形だった。それも、清宮から5奪三振を奪った桜井がスラッガーの安田に真っ向勝負を仕掛けるという構図の試合だったわけである。
「清宮から5三振を奪ったことよりも、チームとして考えています。昨秋の早実戦は自信になりましたけど、試合には負けたので、その点は考えないといけない」
そう試合前に意気込んでいた桜井は、1回表に安田を迎えると、いきなりスライダーで三振に切って取った。そしてその裏、日大三が2点を先制した。