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「まだバルサとはやりたくないかも」
レスター岡崎慎司、CLで再び奇跡を。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2017/03/17 07:00
メガクラブのストライカーのように得点を量産しているわけではない。それでも岡崎の献身性はレスターを勝たせる大事なエッセンスである。
決められたかのような交代策に思うところはあるが。
岡崎は64分にスリマニと交代した。岡崎がピッチを去ったことで、レスターのプレスの威力は弱まり、自陣へ押し込まれる場面が目立った。もし、セビージャに得点を許せば、延長戦の可能性すらあっただけに、交代のタイミングには、疑問も残った。
「まるで、最初から60分と決められたかのように交代させられる。正直なところ、勝ちたいのであれば、もう少し自分の仕事、役割の重要性を理解してほしいという気持ちもある。僕が交代したあとは、いつも押し込まれてしまうから」
ただ、スリマニ投入が勝利を決定づける得点を期待してのものだったとすれば、岡崎自身もゴールすることで自身への評価を変えていくしかない。
CLで結果を残すという、キャリア史上最大の挑戦。
「監督が代わって、チャンスは掴んだ。でもまだそのチャンスをものにはできていない。自分が何のために頑張っているかと言えば、試合に出るためじゃない。ここ(プレミアリーグ)で、活躍するために頑張っている。今日のような試合で点を決めて、ヒーローになりたいから頑張ってる。でもそれができなかった。だから、僕は首の皮一枚繋がってベスト8へ行けただけなんだと思う。
次のビッグマッチは、自分の存在意義が問われる試合になる。そういう意味では、ワールドカップと同じ。4年に1回しかその機会はないわけだから。ヨーロッパに来て6年、やっとCLの舞台に立てた。これまでも、海外で結果を残したという自負もあるけれど、CLで結果を残す、ベスト8で結果を出すというのは、自分が成し遂げていないことへのチャレンジだと考えている。このために、やってきたようなものだから。そこに懸けたいですね」
W杯ブラジル大会で味わった喪失感。世界最高峰の舞台で結果を残せなかったからこそ、岡崎は今、プレミアリーグで戦っている。身体能力の高さがものを言うだけに「自分には一番向いていない」とも話している。だからこそ厳しい戦いに身を置き、CLの舞台までたどり着いたことに自信をつけている。