セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
長友佑都、実は周囲も驚く絶好調。
最良のSBはチームの布陣さえ変える?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2017/03/09 11:30
フォーメーションの関係で出場時間は減っているが、選手交代のカードとして長友佑都はチームの戦力に常に数えられている。
ウイングバックの位置にも攻撃的な選手が。
ただし、3バックの導入は、長友の出場できる選択肢がかなり限定されることを意味する。
ピオリの3-4-2-1はかなり攻撃的だ。
3列目の右サイドには、本来高めの位置で起用されていた攻撃的MFカンドレーバが1列下がる形で入り、左にはクロスやミドルシュートを武器にするDFダンブロージオが入る。
サン・シーロに2位ローマを迎え撃った26節のホームゲームでは、3列目の左に守備能力がからきしのMFペリシッチを先発させたほどだ。
チーム戦術の攻撃志向が強まったことで、長友の起用序列も変化した。
長友のライバルは、経験豊かなDFアンサルディやDFサントンといった同ポジションの選手だけではなく、リーグ屈指の攻撃的ドリブラーであるクロアチア代表MFペリシッチや韋駄天MFビアビアニーになってしまうのだ。
指揮官が高さとフィジカルで守備固めを狙うなら、キエーボ時代の教え子であるDFアンドレオッリもベンチにいる。
現時点でも、サイドバックとしてなら優先度は高いが。
プレーがなければ話すこともない。これまでずっとメディア対応をしっかりしてくれた長友も、今季は試合後のミックスゾーンで挨拶だけに留まることが増えた。
昨年末、スタジアムの記者席でたまたま隣合わせたのがインテルの重鎮OBベルゴミだった。これ幸いとクラブ歴代屈指の名DFだった彼に、長友の現状への意見を聞いた。
「長友は個人的に私好みの選手でね。現戦力で左右サイドバックを選ぶなら、ベストチョイスはダンブロージオと長友だと思う」
ベルゴミは古巣とサッカーへのリスペクトゆえに直言を愛する。彼は「長友がピオリの信頼を得て、スタメンを奪回する時間は残されている」と付け加えてくれたが、季節はあっという間に春になった。