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長友佑都、実は周囲も驚く絶好調。
最良のSBはチームの布陣さえ変える?
posted2017/03/09 11:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
バシュッ!
ズバッ!
立て続けに鋭いシュートをゴールネットに突き刺すのは、意外にも長友佑都だ。
チームメイトたちも感嘆の色を隠さない。
左足でゴール左上隅に豪快なミドルを叩き込んだかと思えば、逆の右ポスト根本ギリギリに打ち込む低めの高速弾もあり、果てには浮き球からボレー気味の派手な右足シュートも決めた。
白い練習着ジャージの長友は、小走りして「よっしゃー」と大きく両腕を振り上げる。26節ローマ戦を控えたインテルの練習風景の1コマだ。
長友の出場機会減少が叫ばれて久しい。
だが、“チェントロ・スポルティーヴォ・スニング(蘇寧)”と名を改めた練習場で日々汗を流す彼は、少なくともフィジカル・コンディションを万全に保っている。ひとたび「行け」と命じられれば、いつでも延長戦まで走れそうな精悍さは変わらないままだ。
3バックの採用で、長友の出場機会は激減。
昨年11月、デブールからピオリへの監督交代を機に、長友の出場機会減少に拍車がかかった。
年が明けて以降、2月末までに長友がこなした実戦は、1月28日にホームで先発した21節ペスカーラ戦のみだ。
新監督ピオリは、就任当初こそチームが慣れ親しんだ4バックを使い続けたが、22節パレルモ戦で小兵の“闘犬”MFメデルをセンターバックに起用し、24節エンポリ戦からはDFムリージョとDFミランダを合わせた“南米3Mトリオ”による3バックを導入。
ピオリは最終ラインを安定させることに成功し、就任時に10位だったチームを再びCL出場圏が狙える位置にまで引き上げた。25節終了時点で得た勝ち点48は、国内外3冠を達成した2009-2010年シーズン後、最多となる好成績だった。