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2年前のレギュラーがほぼ全滅――。
それでも人が集まる湘南スタイル。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/01/24 11:00
昇格と降格を何度も体験してきた。それでも湘南はJリーグの中で“ブランド”を確立しつつある不思議なクラブだ。
「現実的な対応策としては、やはり予算規模」
“湘南スタイル”がJリーグの優良ブランドとして確立されてきただけに、このチームのレギュラークラスは他クラブから熱視線を浴びる。'15年と'16年に限らず、ベルマーレは今後もオフのたびに主力が流出する危機にさらされるかもしれない。
代表取締役会長の真壁潔も、「現実的な対応策として、やはり予算規模を大きくしないと」と話す。大企業の資本注入を受けていないベルマーレは、J1なら下位で、J2でも中規模の年間予算で運営している。選手への報酬にはボリュームを割いているが、J1のトップクラスと肩を並べるのは難しい。
ソフト面で劣勢を強いられているところもある。ホームスタジアムの平塚競技場は、昭和の時代に造られたオールドファッションな装いだ。収容人数は1万5千人強とコンパクトで、入場料収入には限界がある。スタジアムのキャパシティが、増収への壁となっているのだ。
新スタジアム建設を検討する第三者委員会がスタートしたものの、少なくともあと数年、ひょっとしたらあと10年単位で、平塚競技場に軸足を置くことになる。アウェイゲームでサッカー専用スタジアムの快適さに触れる選手からすれば、平塚競技場という空間に物足りなさを感じても不思議ではない。それが一因となって、移籍へ気持ちが傾く選手がいるかもしれない。
2009年からの7年間で体験した3度の昇格と降格。
真壁が言う。
「1999年に市民クラブとして再出発してからこれまでは、経営することに力を注いで走ってきた。とにかく一度はJ1へ戻らなきゃいけない、それはベルマーレを支えてくれている皆さんとの約束ととらえていて、'09年に反町監督が見事なマネジメントで上げてくれた。その後も曹監督のもとで'12年、'14年と昇格したけれど、これからは戦略的な資金の貯め方を考えていかないといけない」