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新年は彼らの言葉もひと味違う。
香川、武藤、長谷部が空港で……。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/01/07 11:00
今季開幕戦の試合後、笑顔を見せ合った香川と武藤。日本でのリフレッシュを経て、再びドイツでの研鑚に励む。
「そんな簡単に結果が出るほど甘い世界ではない」
「そんな簡単に結果が出るほど甘い世界ではないというのは去年も感じていますし。それでも結果を貪欲に求めていけるかどうかは、自分自身にかかっていると思います」
香川の頭のなかにはもちろん、2017年だけではなく、2018年のことも入っている。ロシアで開かれるW杯について問われると、こう答えた。
「そこは十分に逆算してやっています。色々なことを経験させてくれた1年だったなと言えるように、この1年、また取り組んでいきたいと思っています。W杯まであと1年半ですしね。ただ、その前に最終予選もあるので。まずはそこを戦い抜かないとW杯に行けないので。しっかりとやっていきたいと思います」
「才能のあるヤツら」に打ち勝っていくために。
すべてを左右するのは、所属するクラブでの活躍だ。
幸いにして、日本代表の活動のために3カ月連続でチームを離れて、アジアへの移動を強いられたシーズン前半戦とは異なり、後半戦で代表戦の活動が組まれるのは一度だけ。腰をすえてドルトムントでの戦いに取り組める。
「才能があるヤツらがドルトムントに入ると思っています。そういうヤツらに打ち勝つには、そういうヤツ以上の気持ちをみせてやっていかないといけない。
『オレがやるんだ!』ということを証明できるように。ただ、それは試合だけで出来るものではないから、1つひとつの練習から、そういう想いを持ってやって、証明していきたいなと思っています」
力強くそう話して、香川は出国ゲートの向こうへ消えていった。
怪我に悩まされた武藤は、まぶしい笑顔を浮かべた。
武藤嘉紀は、およそ1カ月前に「怪我をしないための努力は誰よりもやってきたつもりだったんですけど……」と、この1年を振り返っていた。彼は、この日にドイツへ渡る選手のなかで最も早く空港にやってきていた。初日の出のような、まぶしい笑顔を浮かべて――。
空港だと一般の人の目につきやすいため、ナーバスな表情を浮かべる選手も少なくない。でも、この日の武藤は違った。
ドイツへ戻るのが、サッカーをするのが、楽しみで仕方がない。そんな様子が伝わってくる。