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新年は彼らの言葉もひと味違う。
香川、武藤、長谷部が空港で……。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/01/07 11:00
今季開幕戦の試合後、笑顔を見せ合った香川と武藤。日本でのリフレッシュを経て、再びドイツでの研鑚に励む。
自分の身体は弱点ばかりだったことに気づけた。
「監督から、直々に言われましたからね。とにかく、やらないと、このチャンスをものにしないと、後がないので」
そう武藤も語る。
ではなぜ、この日の武藤は明るい表情を浮かべていたのか。そこには明確な理由があった。
「怪我を経て、自分の身体の弱点だったりが、しっかりとわかったんです。長いリハビリの中で、頑張ろう、頑張ろうと思いすぎて、筋肉を固めすぎてしまっていたんですよね。(トレーニングを)やりすぎて……。でも、そうではなくて、しなやかでありながら、強い筋肉をつけないといけない。あとは、バランスですね。身体の前(側)が強すぎて、後ろがあまり強くない。そこを同じバランスでやっていければ、プレーの幅も広がると思うので。自分の身体は弱点ばかりだったということを再確認できた10日間だったんじゃないかなと思います」
失敗や判断の誤りを認められる人間かどうか――それが選手としての資質の分岐点だ。自分に足りないところを見つけられたのは、大きな価値があるのではないか。そんな質問を投げかけると、武藤は即答した。
「そう! すごい、ポジティブです! もし、不安要素だったり、弱点がプラスの力に変わった時に、どれだけ自分が成長できるのか……。そう思うと、ワクワクしますよね」
これからの武藤はそのワクワク感を、見るものに与えるドキドキ感に変えていくつもりだ。それはゴールを獲れるポジションに与えられた特権である。
長谷部は、日本サッカー全体への想いを口にした。
ファンが集まってきても、動じない。重ねてきたキャリアと、積んできた経験が、長谷部誠の悠然とした足取りには表れていた。
今年の目標を聞かれても、まずは、日本サッカー界という自らが背負うものについて語りはじめた。
「日本代表だけではなく、海外で活躍する選手、Jリーグの選手、各カテゴリーのなかで、それぞれが日本サッカー界を盛り上げられるようにしたいです。日本サッカー界という大きなくくりで、日本のみなさんに期待をもっていただけるような雰囲気というか、そういうものを持って行きたいなと思っています」