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新年は彼らの言葉もひと味違う。
香川、武藤、長谷部が空港で……。
posted2017/01/07 11:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
空港にはいつだって、希望があふれている。新たな旅立ちに胸を躍らせる人が集まるからだ。海外で活躍するアスリートにとっても変わりはない。
1月2日、つかの間のウインターブレイクを終えてドイツへと向かう選手たちが次々とやってきた。彼らの気分を高揚させるもう1つの要因は、もちろん、新たな年を迎えたからだ。希望しかない1日は、こうして始まった。
香川真司は向けられたカメラと、集まってきた記者を前にジョークを飛ばす。
「カメラ、少ないなー。気楽でえぇわぁ」
今年の年明けは実家のある神戸で迎えた。ずいぶんと久しぶりのことだ。関西弁が思わず出るのは、家族とゆっくりと話をして過ごしたからだ。アドレナリンを湧きあがらせながら戦うサッカー選手にとって、心を落ち着ける時間を設けることは大切な作業である。
「2016年はやっぱり『悔しい1年』だった」(香川)
昨年末にドイツから戻ってきた内田篤人が、香川のアモーレを探したいと話していたことを告げられると、香川は冗談交じりにこう答える。
「“ウチダ”のほうから連絡もないですし、話題作りでやるだけなら……そういうのはやめて欲しいなと。本当にそういう気持ちがあるのなら、店の予約から、セキュリティからしっかりと準備をして、オーガナイズして欲しかったですけど、全くなかったですね(笑)」
と、プライベートを犠牲にしたリップサービスもここまで。そこからは香川はもう1つの顔を見せた。アスリートの顔である。
「年末を実家で過ごしたりしながら考えていたんですけど、2016年はやっぱり『悔しい1年』だったな、と。その経験、悔しさを踏まえ、2017年にチャレンジしていければいい。この悔しさを力に変えて、良いスタートを切りたいと思っているので」
「ただ……」と香川は付け加えた。