スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
重要な試合ほどハメスは使われない。
ジダン体制での冷遇で、移籍間近か。
posted2016/12/23 07:00
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Getty Images
圧倒的な強さを感じさせることは稀で、集中力が途切れがちで90分間プレーが安定しない。だから必要以上に苦戦を強いられることが多いのだが、最終的には天性の勝負強さを発揮して勝利を手にしてしまう。
延長戦の末に辛くも制したクラブW杯決勝は、ジネディーヌ・ジダンが就任して以降のレアル・マドリーを象徴する一戦だった。
内容はいまいちながら、指揮した53試合で41勝10分2敗という驚異的な結果を残してきたジダンの下、これでレアル・マドリーは昨季のチャンピオンズリーグ、今夏のUEFAスーパーカップに続く3タイトル目を手にするとともに、とうとう今季無敗のままクリスマス休暇を迎えることになった。
「すっとマドリーで暮らしたいと思っているが……」
ところが、決勝後のミックスゾーンで、お祭りムードに水を差す出来事が起きた。
「それは明言できない。自分はここにいたい。自分も家族も幸せで、ずっとマドリーで暮らしたいと思っている。でももっとプレーしたいのであれば、解決策を見つけるべくあらゆることを考えなければいけない」
「1月に移籍はせず、マドリーに残るのか」。記者からの問いに対し、時折言葉を詰まらせながらもはっきりと答えたのはハメス・ロドリゲスだ。
ブラジルW杯での活躍で脚光を浴びた2014年夏、ハメスは8000万ユーロもの移籍金をモナコに残し、レアル・マドリーに加入した。
背番号10に表れるクラブの期待に応え、1年目のシーズンはケガで欠場した11試合などを除き、46戦に出場。そのうち43試合は先発しており、出場時間にすれば4140分のうち3526分、出場率は85.1%に上った。
しかし、2年目の昨季、立場は急変する。