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“経営アプリ”と本田圭佑の関係性。
スポンサーがSVホルンに見出した価値。
posted2016/12/23 08:00

ピッチ上で1人だけ違う胸スポンサーロゴをつけられる、というオーストリアリーグの試みは面白い。ホルンも、それを利用している。
text by

西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
AFLO
東京・青山の一等地にあるオフィス。そこに突然、あの男がやってきた。
「この度、スポンサー契約することになりました、本田圭佑です」
予想だにしない人物の登場に、驚きを通り越して社員全員が唖然としていた。自分の会社が本田とビジネスを始めることを、そこにいた社員はまだ誰も知らなかった。本田自身による、その事実の解禁。
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すると、大きな拍手と歓声が沸き起こる。「人を喜ばせることが好きで」。かつてそう語っていたことがあったが、今回も憎い演出だった。
今季、SVホルン(以下ホルン)でプレーする元日本代表GKの権田修一。彼のユニフォームには、『TATERU』の文字が書かれている。
オーストリアリーグには面白い規定がある。ピッチに立っている11人の選手のうち、1人だけ他の10人とは別のスポンサーロゴを胸につけられるのである。例えば、看板選手のエースなど広告価値の高い存在のユニフォームにだけ、違うスポンサーがついていることもある。ただフィールドプレーヤーではけが人が出やすく、出場可否も不安定なので、GKに適用しているチームが多いという。
語源は『建てる』、もちろん日本企業である。
この『TATERU』、語源は『建てる』の意。もちろん日本企業である。
アプリを使用して、アパート経営を展開していくというサービス。運営するのは株式会社インベスターズクラウドという不動産業とIT業を融合した企業である。今月20日には本田圭佑を新たにCMに起用することを発表した。しかし、それに先立って世間に知られる機会となったのが、ホルンへのスポンサードだった。
会見でお披露目となった、ホルンのオフィシャルサポーター。タレントの筧美和子とじゅんいちダビッドソン。後者は言わずと知れた、本田のモノマネで人気のお笑い芸人である。発表翌日には、朝の情報番組やインターネットニュースがこぞってこの話題を取り上げた。ホルンがここまでお茶の間に目に触れたことは、なかったかもしれない。