スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
重要な試合ほどハメスは使われない。
ジダン体制での冷遇で、移籍間近か。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byGetty Images
posted2016/12/23 07:00
笑顔でクラブW杯のトロフィーを手にするハメス。しかし内心は決勝戦で1分も出場できなかった事実に不服だったのだろう。
アンチェロッティ体制での重用から一転。
ハメスを重用し続けたカルロ・アンチェロッティとは対照的に、ラファエル・ベニテスはコパ・アメリカ出場とケガで出遅れた彼を調整不足とみなし、なかなかフル出場の機会を与えなかった。
こうした状況に業を煮やしたハメスは、代表戦で活躍した際に「自分は万全だ。調整不足と言い続けるヤツは、激しく、よく戦った今日の45分間を見れば分かる」と発言した。
これが指揮官との不仲を印象付けるきっかけとなったのだが、実際は常に先発で出たいハメスが不満を露にしていただけで、ベニテスが彼を冷遇していたわけではない。
ベニテスが指揮した25試合中、ハメスは11試合の出場にとどまったものの、そのうち10試合はケガによる欠場で、監督判断による出場なしは4試合のみだったからだ。
ジダン体制では53試合中、先発は21戦だけ。
しかし、ジダンは違った。
これまでジダンが指揮した53試合のうち、ハメスは37戦でプレーしているが、そのうち先発出場は21回、フル出場に至っては10試合しかない。途中出場は16回で、ベンチ入りしながら出番がなかった試合も同じく16回ある。
出場時間にすると全4830分のうち2091分で、出場率は43.3%にとどまる。
今季の出場時間は859分。これはトップチーム登録の24選手中、20番目に少ない。彼より出番が限られているのはダニーロ(769分)、マリアーノ(157分)、コエントラン(128分)、第3GKルベン・ヤネス(14分)の4人しかいない。