スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
重要な試合ほどハメスは使われない。
ジダン体制での冷遇で、移籍間近か。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byGetty Images
posted2016/12/23 07:00
笑顔でクラブW杯のトロフィーを手にするハメス。しかし内心は決勝戦で1分も出場できなかった事実に不服だったのだろう。
クラシコもCL決勝も、ハメスの出番はなし。
しかもジダンは、重要な試合ほどハメスを起用していない。
カンプノウで39戦無敗のバルセロナを破った4月のエル・クラシコ。0-2からの逆転を義務付けられたヴォルフスブルクとのチャンピオンズリーグ準々決勝セカンドレグ。マンチェスター・シティとの同準決勝ファーストレグ。そして2年ぶりに実現したCL決勝でのマドリー・ダービー。
ハメスは昨季後半のキーマッチと言えるこれらの試合を全て、ベンチから眺めるだけで終えている。
その立場は今季も変わっていない。セビージャとのUEFAスーパーカップで先発を外れ、アトレティコとのダービーでは既に0-3と大勢が決したラスト7分のみの途中出場にとどまった。
12月3日のクラシコも、クロース、ベイル、モラタらが不在の状況でありながら、やはり出番なしに終わった。1点のビハインドを追う展開で投入されたのがカゼミーロであり、若いアセンシオであり、カンテラーノのマリアーノだったことは、コロンビアのアイドルにとってかなりの屈辱だったことだろう。
ジダン「私は移籍を望んでいないよ」
そしてその屈辱は、今回のクラブW杯でも繰り返された。
ベイル不在の同大会で2試合ともに先発したのは指揮官お気に入りのルーカス・バスケスだった。ハメスはクラブ・アメリカとの準決勝で途中出場ながら終了間際にクリスティアーノ・ロナウドの追加点をアシストしたものの、決勝では120分間ピッチに立つことなく試合を終えている。
彼が初めて移籍の可能性をはっきり認めたコメントは、その直後に発せられたものだった。
「ハメスが冬にここを出て行くことはない。……私は望んでいないよ」