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出場枠拡大と小刻み継投策。
前田健太らメジャー組への影響は?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2016/12/24 08:00
ドジャースで今季最多イニング数を投げた前田健太。来季からの選手出場枠変更はスターターに大きな影響を及ぼしそうだ。
ワールドシリーズ進出チームの登板数を見ると……。
ワールドシリーズに出場した2チームを見ても、2016年のレギュラーシーズンに登板した投手の数は驚くほど多い。カブスの場合は、合計26人が投げた。先発5本柱がしっかりしていて、3人(J・レスター、J・アリエータ、K・ヘンドリクス)が190イニングス以上を投げたのだが、50試合以上に投げたリリーフ陣も5人いる。
ついでにいうと、5本柱の先発は152試合で、残る10試合にはM・モンゴメリー(5試合)を以外にも5人の投手が1試合ずつ先発した。1996年には登板した投手の総数が17名だったのだから、20年間で5割も増えた計算になる。
インディアンスの場合も、ブルペンの負担は同じくらい大きかった。使った投手の総計は27人で、190イニングス以上を投げたのは、C・クルーバーとT・バウアーのふたりだけ。50試合以上に投げたリリーフ陣はカブスと同じ5人だが、やりくりはもっと大変だったという印象が強い。テリー・フランコーナがア・リーグ最優秀監督に選ばれたのは、その辺の事情も手伝ってのことではないか。
前田健太は「3巡目までもたなかった」という事実。
そういえば、ナ・リーグ最優秀監督に輝いたデイヴ・ロバーツのドジャースも、カット&ペーストが大変だった。大エースのC・カーショーが故障で離脱したこともあって、使った投手は総勢31名。投球回数もそれにつれて少なく、前田健太の175回3分の2がチーム最多だった。
ただ前田の場合、32試合に先発して、対戦した打者の数が716人というのは、1試合平均23人足らずだ。つまり、「(打順の)3巡目までもたなかった」ことは残念ながら事実で、これはやはり物足りない。
実際、先発の内訳を見ると、32先発中6回以上までもった試合が15しかない。ヤンキースの田中将大が後半評価されたのは、31試合の先発中25試合に6イニングス以上投げたためだ。ドジャースは来季、前田にどのような役割を期待するのだろうか。
私としては、先発投手として190回前後を投げてもらいたいのだが、これはロバーツの采配次第だろう。ブルペン強化が表に出るようだと、今季同様、5回限定もしくは6回限定という起用法が多くなる可能性もある。