スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
出場枠拡大と小刻み継投策。
前田健太らメジャー組への影響は?
posted2016/12/24 08:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
2016年11月から話題になっていたことだが、大リーグの選手出場枠が、25名から26名に増やされることになりそうだ。その代わり、これまで9月になると採用されていた40人枠(いわゆるセプテンバー・コールアップ)が28人程度に減らされる見込みだという。
増えるのは1人だけだから大した変化ではない、という声もあるが、その陰には問題がひとつ潜んでいる。どのポジションを増やすか、という問題だ。つまり、最近どの球団も躍起になっている「ブルペンの強化」がここでも主眼になるのではないか、という疑問だ。
身近な例を引こう。記憶に残る熱戦だった2016年のワールドシリーズで対決したカブスとインディアンスは、ともに7試合で延べ32名ずつの投手を登板させた。第6戦では両軍合わせて11人の投手が出てきたし、第2戦でもインディアンスは7名の投手をマウンドに送り込んだ。
それだけきわどい勝負がつづいたことは事実だが、その副作用として試合時間は長くなった。7試合の平均試合時間は3時間42分。延長10回までもつれ込んだ第7戦は4時間28分、カブスが5対1で勝った第2戦も4時間4分を要している。
レギュラーシーズンでも小刻みなリレーが増加。
短期決戦だから仕方ないじゃないか、という声はもちろん聞こえる。私自身、そういう考えでスリリングな展開を十分に楽しんだことは認める。が、これがレギュラーシーズンでも当然の事態となったらどうだろうか。正直な話、私の頭の片隅には「先発は3回もてばよいのか」という不満が浮かんだのだった。
小刻みな投手リレーは両刃の剣だ。守備側に危機が訪れると、剛球投手や魔球投手がつぎつぎに登板し、相手打者をきりきり舞いさせる光景はたしかに劇的といえる。ただ、その一方で、試合時間は延びる一方だし(交代のたびに時間がかかるし、目先を変えられた打者は打席で慎重になりがちだ)、試合がどうしてもディフェンシヴになってしまう。果たしてそれでよいのだろうか。
しかし、この傾向はレギュラーシーズンでも顕著になりつつあるようだ。