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内田篤人「本当に無駄な1年9カ月」
言葉と裏腹に表情は嬉しそうだった。

posted2016/12/09 14:30

 
内田篤人「本当に無駄な1年9カ月」言葉と裏腹に表情は嬉しそうだった。<Number Web> photograph by AFLO

試合後、報道陣の取材に答える内田。クールなやり取りの中にも、表情と瞳からは確実に充実感が漂った。

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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AFLO

 12月8日ヨーロッパリーグ・グループステージ最終節。すでにグループリーグ1位突破が決まっているシャルケは、敗退が決まったザルツブルク相手に苦戦を強いられていた。意地を見せるようにホームで躍動するザルツブルクに先制を許し、前半はほとんど見せ場も作れなかった。しかし後半に入ると、シャルケは徐々に攻撃を仕掛けるシーンも増えて、敵陣へと押し込む時間帯も増えていた。

「今日の出番はないかな」

 狭いアップエリアを何度も往復しながら、内田篤人はそう考えていた。当初は20分から30分の出場という話もあったが、後半になり立ち直ったチームを見ながら「俺が監督だったら、ここで選手は代えないな」とも思ったという。

 しかし、時計が80分を過ぎたとき、マルクス・バインツィアル監督は内田を呼んだ。

22番の青いシャツ。鳴り響く「ウシダコール」。

 ベンチへ戻り、ビブスを脱ぎ、ユニフォームに着替え、コーチからの指示を受ける。そして83分、タッチラインに内田が立つ。スタジアムに駆けつけたシャルケサポーターからの「ウシダコール」が響き、場内アナウンスで内田の名前が呼ばれた。

 スローインを投げ、セットプレーでは最後尾に立った。22番の青いシャツを着たシャルケの右サイドバック。少し髪が伸びているものの、彼がそこに戻ってきた。ザルツブルクの南野拓実のシュートをブロックし、チャンスにはサイドを駆け上がる。欲しいタイミングでパスが出てこないシーンもあったが、攻守にわたり、生き生きとプレーした。

 ロスタイムにセットプレーの流れでボールを奪われて、ザルツブルクのラドシェビッチの突破を許し、追加点を与えてしまったが、同点にするためGKも敵陣ペナルティエリアまで攻撃参加していたことを考えると致し方ない面もあるだろう。

【次ページ】 「復帰して、スタートラインには立てたけど……」

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