プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ジェラード引退、次の夢は監督業。
リバプール帰還への修業期間を。
posted2016/12/04 11:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
1998年11月29日のリバプールのトップデビューからほぼ丸18年、スティーブン・ジェラードがスパイクを脱いだ。リバプールでは通算710試合、イングランド代表でのキャップ数も114。母国のメディアでは、LAギャラクシーでシーズンを終えて間もない36歳に対して賞賛の嵐が起きている。
そのレベルは、かつてのチームメイトでもあるロビー・ファウラーが「俺より先に逝くなよ」と、彼らしいブラックジョークを携帯メールで当人に送ったほど。さらに「引退しただけでこの凄さ。他界でもされたらどれだけの賛辞をしたためなきゃならないことか」と、コラムを持つ「ミラー」紙で明かしていた。
もっとも、去る11月24日の引退発表自体は、衝撃の一報ではなかった。ジェラード自身が今年1月の時点で、「おそらく今シーズンが最後になる」と公言していたからだ。ゆえに引退後の進路に関する世間の興味も当時から高まり始めていた。今回の正式発表と前後してMKドンズ(イングランド3部)からの監督就任オファーを断っているジェラードだが、新たに目指すは「監督としての成功」に他ならない。
かつての恩師ウリエ、ベニテスからも太鼓判。
第2のキャリアとする選手が増加したメディアでの仕事も、既にこなしてはいる。紙媒体では「テレグラフ」紙のコラムニスト、テレビでは「BTスポーツ」局で解説者を経験済みだ。同局のCL中継司会者で、メディア転身の成功例であるガリー・リネカーも「上々の解説者デビュー」とお墨付きをつけている。
しかしながらリバプールの選手だった3年前から、当人が「意欲」と「大志」を口にしていた対象は監督業だった。
その道の大先輩であり、2003年にジェラードを主将に指名したジェラール・ウリエ、そして'05年にCL優勝の栄光を共有したラファエル・ベニテスからは、「監督として成功できる」とエールも送られている。リバプールでユース出身の先輩としてジェラードを崇め、現在メディア業界で働くニール・メラーなどは、「その気になれば何をやっても成功間違いなし」とまで言っている。