“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
東西の横綱と北の優勝候補で混戦に。
高校サッカー選手権、最新情報と見所。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2016/11/30 11:00
左から、原輝綺(市立船橋)、藤川虎太朗(東福岡)、廣末陸(青森山田)。今季もまた大会で伝説が生まれるのか?
ふたりの名CBコンビを支えるアンカーの存在。
一方の市立船橋は、杉岡と原の難攻不落なCBコンビが守備の中心とされるが、アンカーの金子大毅の存在こそ、むしろ不可欠といえる。
彼の危機察知能力とカバーリング能力は非常に高く、その動きこそが今年のチームの組織的な流動性の高さを実現させているのだ。基本は4バックだが、攻撃時は2CBが開き、金子がDFラインに落ちて3バックになり、サイドの圧力を強めて切り崩していく。攻撃力のある杉岡も、金子がしっかりとカバーをしてくれるからこそ、頻繁にドリブルで攻め上がり、攻撃の厚みをもたらすことが出来る。
「杉岡と原が後ろにいるのは本当に大きいし、高も凄く献身的に守備をしてくれる。僕の周りには凄く信頼出来る選手がいる。だからこそ、彼らが持ち味を出せるように自分が気を配ってプレーしないといけない」
チームの柱への絶大な信頼感とリスペクトを持って、クレバーなプレーをしている金子の存在は、チームバランスと円滑な流動性を生み出す大きなポイントとなっている。
他にも、強烈な左足を持つDF杉山弾斗、抜群の得点感覚を持ち、インターハイで5得点と大ブレイクした1年生FW郡司篤也など、下からの突き上げもあり、選手権に向けて着実にレベルアップを遂げている。
東と西の横綱に、北の優勝候補が絡んでくる。
看板選手のそばには「チーム全体に影響力を持った名脇役」がいる。
彼らの存在こそが、優勝候補を優勝候補たらしめている所以である。同様に、北の優勝候補・青森山田にも、それは当てはまる。
GK廣末陸(FC東京入団内定)とMF高橋壱晟(ジェフユナイテッド千葉入団内定)の2人のJリーグ内定選手を抱えており、今年のチームは着実に結果を残している。
昨年の選手権ではベスト4に輝き、廣末、高橋を始め、その時のメンバーの多くが残った今年のチームは、インターハイベスト4、現在プレミアリーグイーストで首位・FC東京U-18に勝ち点1差の2位に付けるなど、実力は全国トップクラス。
高橋とツーシャドーを組む2年生MF郷家友太はプロ注目の選手で、安定したボールコントロールと質の高いオフ・ザ・ボールの動きで、攻撃のリズムを生み出せる。献身的な守備も魅力で、攻守両面で代えの利かない存在だ。抜群のキャプテンシーを誇るアンカーの住永翔、ずば抜けた身体能力を持つ1トップの鳴海彰人、サイドのチャンスメーカー・MF嵯峨理久、規格外のサイドバック・三国スティビアエブスなど多士済々。
悲願の選手権初優勝の力は十分に有している。