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シメオネの神通力は消えたのか。
「攻めるアトレティコ」の勝算は? 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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posted2016/11/27 07:00

シメオネの神通力は消えたのか。「攻めるアトレティコ」の勝算は?<Number Web> photograph by AFLO

アトレティコの生命線は、規律と闘争心。ダービーでロナウドに食ってかかったコケの姿勢を今再び共有すべき時だ。

プレスがハマらず、球際で負け、カウンターも不発。

 球際の争いで相手を凌駕するインテンシティーの高さ。緻密なポジションバランスと個々のハードワークに支えられた超コンパクトな守備ブロック。

 シメオネの就任以来、アトレティコはこの2つをベースとした堅守に磨きをかけることで、格上相手に対しても常に接戦に持ち込める厄介なチームに成長してきた。

 だが今回は違った。

 セカンドボールの奪い合いで後手に回り、ポジショニングが乱れてプレスがはまらず、ボールを持ってもミスが多くカウンターにつなげず、ポゼッションも続かない。

 終始相手にペースを握られ続けた前半の45分間は、まるで13年以上もダービー未勝利が続いたシメオネ以前のアトレティコを見ているようだった。

 それでも後半は立ち上がりからラインを押し上げて前から圧力をかけ、相手を押し込み何度か惜しいチャンスを作り出したが、それも71分のPK献上まで。2点差とされた後は「希望を絶たれた」とシメオネが表現した通り、選手たちの気持ちが切れてしまった。

昨季38試合18失点のチームが、12試合時点で11失点。

 これで今季早くも3敗目。しかも代表ウィークを挟んだとはいえ、リーガでは2012年の4月以来となる連敗である。12節終了時点で6勝3分3敗の6位はシメオネの就任以降、最悪の成績だ。

 昨季は全38節で18失点に抑えたチームが、今季は既に11失点。大型補強を敢行したはずの攻撃陣は今季も変わらずグリエスマンの決定力とカラスコの突破力に頼りきりで、ダービーでは新顔が一人も先発しなかった。

 新戦力の適応に時間がかかるのは毎年のことであり、現時点でガメイロやガイタンが本領を発揮できていないことはまだ理解できる。だがDFラインと中盤の顔ぶれが昨季から全く変わっていないにもかかわらず、つまらないミスやセットプレーからの失点が増えているのはただの偶然なのだろうか。

【次ページ】 昨季CL決勝で退団を示唆したシメオネは続投も……。

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