スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
シメオネの神通力は消えたのか。
「攻めるアトレティコ」の勝算は?
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byAFLO
posted2016/11/27 07:00
アトレティコの生命線は、規律と闘争心。ダービーでロナウドに食ってかかったコケの姿勢を今再び共有すべき時だ。
変化がないチームは新たな刺激を必要としている。
それが今季はサイドが主戦場だったコケをセントラルMFに据え、2トップを維持したままサイドMFにカラスコ、コレーア、ガイタンらアタッカーを起用する攻撃的な4-4-2をスタートから試す試合が増えているのだ。
今のところそのメリットははっきりと見えていない。ポゼッションは増しても得点の増加には結びついておらず、守備力の低下というマイナス面の方が目立っているくらいだ。
それでも現状に満足せず、自らを変化させていかなければ新たな成功は掴めない。何より選手、監督共に顔ぶれに変化がないチームは新たな刺激を必要としている。それがCL決勝後の絶望を乗り越えたシメオネが達した結論だったのではないだろうか。
ここ数試合で見られた選手たちの混乱は、昨季までと同じ戦い方を望む彼らと変化を求める指揮官の間に生じたずれが原因なのかもしれない。
この不調が一過性のものとなるのか、より深刻なスランプにつながるのか。それはこのずれをいち早く修正し、再び選手たちが指揮官の言葉を信じて無心にプレーできるかどうかにかかっている。