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さらばベルルスコーニ、迎える転換期。
“チャイナ・ミラン”で本田の境遇は?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2016/08/19 11:00
ベルルスコーニか中国投資グループかは関係なく、ピッチで結果を残すことこそがナンバー10を背負う本田の使命となる。
「右派政党党首が見つけた買い手が中国だとは!」
クラブの累積負債を含む買収総額は7億4000万ユーロ(約836億円)とされ、年末に予定される株式譲渡完了を待って、新経営陣は来年1月の移籍市場から向こう3年間で合計3億5000万ユーロ(396億円)を補強予算に費やすという。
「ベルルスコーニは右派政党党首として、長らく共産主義政党を目の敵にしてきた。愛するミランを泣く泣く手放すにあたってようやく見つけた買い手が、よりによって中国中央政府の息のかかった投資家たちとは!」
ミラン売却とその買収先が明るみに出ると、イタリアの政治評論家たちは皮肉を込めて嘲ったが、経営陣交代によってクラブ改革が大きく進むことは間違いない。
昨季、ミランは国内リーグ戦で7位に低迷した。
ユベントスとのコッパイタリア決勝戦にも敗れたことで、欧州カップ戦出場を3季続けて逃した上に、ベルルスコーニがオーナーに就いた'86年以降、初めて4年連続無冠という異常事態にも直面した。
盟友ガッリアーニも去り、新監督はモンテッラに。
名門再建に向けて、いよいよ余裕のなくなったフロントは、今シーズン中に刷新される見込みだ。
ベルルスコーニと一蓮托生の右腕として、30年来現場を取り仕切ってきたアドリアーノ・ガッリアーニCEOの後任には、昨年までインテルで同職にあったマルコ・ファッソーネが就任することが中国側から発表され、サポート役にレジェンドOBの招聘も噂されている。
一方で、クラブ売却が決まる前に一足早く、現場は新体制へ移行していた。
新監督に迎え入れられたのは、ビンチェンツォ・モンテッラである。
現役時代にはセリエA通算141ゴールを挙げた名FWだったモンテッラは、指導者転向後ローマやカターニャ、フィオレンティーナで気鋭の若手監督として名を上げた。