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さらばベルルスコーニ、迎える転換期。
“チャイナ・ミラン”で本田の境遇は?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2016/08/19 11:00
ベルルスコーニか中国投資グループかは関係なく、ピッチで結果を残すことこそがナンバー10を背負う本田の使命となる。
新チーム集合日に「言い訳は許さん!」と厳命。
モンテッラの求めるサッカーの理想は高い。
“楽しいサッカーで美しく勝つ”とは、ベルルスコーニが望んだスタイルとほぼ同義だ。
ただし、理想主義者であるモンテッラの妥協を知らない頑なな姿勢や性急さは、行く先々で選手やフロントとの誤解や衝突を生み、近年は扱いの難しい指導者という印象が強まっていたのも事実だ。
クラブの節目となるシーズンに再建を託されるモンテッラは「自分は変わった。それを証明したい」と語り、新天地での再起にかける。ミラネッロ練習場での新チーム集合日には、選手全員に向かって「今季は昨季よりもっといいプレーをしてもらう。言い訳は許さん」と命じた。
「今回のチャンスに燃えている。さもなきゃ、1日18時間も働けるものか」
補強が進まぬ中、本田の置かれている状況は?
新監督モンテッラに率いられたミランは、夏の米国ツアーでバイエルンやリバプール、チェルシーといった強豪相手に失点を重ねた。
FWジェレミー・メネズやDFアレックスら多くの主力級が昨季限りでチームを去り、彼らの穴を埋めようにもクラブ売却交渉が長引いたせいで移籍市場では後手を踏んだ。
8月中旬になっても、主な新戦力は昨季のセリエB得点王FWジャンルカ・ラパドゥーラとセリエA初挑戦の若手DFグスタボ・ゴメスのみ。モンテッラは4-3-3をベースに各選手の起用ポジションについて試行錯誤を重ねている。
クラブ再建に向けて経営陣が変わり、指揮官もチームも変わった。
その中で、ミランでの4シーズン目を迎えるMF本田圭佑は変わったか。
6月の日本代表合流中に負った故障の影響で、チーム始動後は個人メニューでの調整が続いた。
米国でのプレシーズンマッチでは、かつて本田がインザーギ時代に重用された3トップの右サイドに若手のFWスソが優先起用された。