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“名鑑マイスター”中村憲剛が語る、
「現代最高のボランチ」とは誰か?
posted2015/09/10 11:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Asami Enomoto
今シーズンの楽しみ方についてインタビューをすべく、中村憲剛のもとへと向かった。
8月某日、午後練習を終えて川崎フロンターレのクラブハウスに引き上げてきた中村憲剛は、“気合い十分”だった――。
「今日はナンバーの分厚いほう(Number PLUS 欧州蹴球名鑑2015-2016)の取材ですよね? 任しといて。俺はサッカーオタクですから。あ、先に夜メシを食べておいたほうがいいかもしれないですよ。誰かが止めないと、朝までしゃべり続けますからね(笑)」
予告どおり、インタビューは白熱した。欧州の新シーズン開幕直後は、チームバスでの移動中にも選手名鑑を熟読し、各チームの補強状況や監督の経歴を頭にインプットする。ピッチの中では日本屈指のプレーメーカーであり、ピッチを離れても「サッカーオタク」。そんな彼が語る欧州サッカーは、やはり深く、鋭い。特にバルセロナに関しては、中継されている試合はほぼすべてチェックしているから、なおさらだ。
「バルサは倒し方が全く思い浮かばない」
「今季のチャンピオンズリーグも、優勝候補の本命はバルサでしょうね。個人的には、史上初の連覇の可能性も、十分あると思います。あの3トップ(メッシ、スアレス、ネイマール)は強烈ですからね。僕はテレビでバルサの試合を観るとき、『どうやったらこのチームを倒せるか』を考えているんですけど、バルサに関しては倒し方が全く思い浮かばない(笑)。それくらい今のバルサは強いですね」
職業柄、欧州サッカーをテレビで観戦する際には、自然とボランチやトップ下の選手に目が行くと言う。では、中村憲剛が考える「現代最高のボランチ」とは誰か。出てきた名前は、やはりバルサの中盤の底に構える、あの選手だった。
「ブスケッツです。第一にポジショニングが凄い。僕が『どうすればパスが回るか』『ボランチがここにいれば次の展開がうまくいく』と予測しながら見ていると、ブスケッツはすでに『そこ』にいるんですよ。攻撃でも、守備でも。僕はテレビでピッチ全体を映した画面を見ているから、ボールを回すためのポジションはわかりますけど、ブスケッツはその理想の位置に必ずいる。だから、ボランチを1人でこなせるんですよ。穴をつくらない。2人分をカバーできる。たった1人でボールをさばいて、なおかつ守れる。そんな選手はブスケッツだけですね。」