“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
東福岡インターハイ3連覇の行方は?
有力校とJクラブも注目の選手たち。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2016/07/26 11:00
全国高校サッカー選手権では得点ランキング2位タイとし、青森山田のベスト4進出にも貢献した高橋壱晟。
青森山田の7番と10番が意味するもの。
より成長への意欲を高める彼に対する、周りからの期待はとてつもなく大きい。それは彼の背番号の変遷に現れている。
青森山田中時代は10番を背負って攻撃の中枢を担っていたが、青森山田高校には2つのエースナンバーが存在している。
それはかつて差波優人(現・仙台)らが背負った7番と、柴崎岳(現・鹿島)、神谷優太(現・湘南)らが背負った10番である。
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これまでこの両方を背負った選手はいなかったが、高橋は高2で7番を背負うと、高3となった今年は10番を託された。
「共に重さは感じるし、自分がやらないといけないという気持ちが強くなった」
周りからの大きな期待を背負った背番号10が、メンタル面でも大きく殻を破ろうとしている。正直、まだまだ破り切れてはいないが、周囲の期待値がより高くなっていくにつれ、彼自身もこの夏で一皮むけようとしている気配を感じる。
世代を代表するGKとして活躍する廣末陸。
廣末陸はU-19日本代表に名を連ねるなど、世代を代表するGKとして存在感を発揮し続けている。
彼の最大の魅力はキックである。コントロールキックからパワー系、裏へのボールから足下、胸元へのボールと多彩な種類のキックを駆使し、時にはゴールの起点にさえなる。キックのレベルがユース年代ナンバーワンであることは間違いない。
そして、もう1つの魅力は“負けん気の強さ”にある。彼は今、183cmとGKとしてはそこまで大きくはない。中学時代は180cmまで達せず、FC東京U-15深川からU-18には昇格できず、昇格を果たしたのは同じ深川の180cmオーバーの山口瑠伊(現・ロリアン、フランス)、FC東京U-15むさしの190cmオーバーの波多野豪だった。この現実に、彼は燃えに燃えた。
「ずっとこの身長のことを周りから言われ続けた。そんなことは僕も分かっている。でも、だからこそ自分より背の高いGKには絶対に負けたくない気持ちが強くなった。高校ではより自分の武器を身につけて、キャッチングやセービング、守備範囲の広さなどGKに必要な要素も身につけて、『GKは身長だけじゃない』ということを示したい」
尋常ではない気迫と意欲で取り組んだ結果、彼は1年時からレギュラーを掴み取り、正確なキャッチングとシュートストップ、そして前述したキックに加え、守備範囲の広さを手に入れるに至ったのだ。