“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
絶対王者・東福岡に揃った才能たち。
1校から4選手がJ入りの可能性も!?
posted2016/07/27 11:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「ストップ・ザ・東福岡」包囲網が敷かれる中、インターハイ2日目の7月28日から、前人未到の3連覇に向けて、いよいよ王者が動き出す。
一昨年、昨年とインターハイを連覇した東福岡は、DF小田逸稀、児玉慎太郎、MF鍬先祐弥、藤川虎太朗といった昨年からのレギュラーに加え、MF高江麗央、福田湧矢ら出場経験がある選手が多数おり、チーム力は昨年以上と言われている。ユース年代最高峰のリーグである高円宮杯プレミアリーグWESTでも、9試合終了時点で2位・広島ユースと勝ち点差なしの3位に付けるなど、偉業達成も十分に視野に入っている。
今年の東福岡でプレーする小田、鍬先、藤川、高江の4人は、いずれもJクラブのスカウトが注目をしている選手であり、全員がプロを志望すれば、1チームで一挙に4選手がJリーグに行く可能性を秘めているのだ。
左サイドバックの小田は、身体能力の高さにまず目が行く。
173cmと身長は高くないが、抜群の跳躍力と空中での体幹の強さ、そして正確にボールを頭で捉える技術に優れ、そのヘディングは攻守において強烈な武器となっている。球際も激しく、相手が隙を見せた瞬間に、一気に間合いを詰めてボールを奪い取っていく。
彼の魅力は両サイドを高いレベルでこなせるところ。
右利きだが左足のキックも強烈かつ正確で、チームでは左サイドバックを任されている。両足から放たれるミドルパス、縦へのフィードは攻撃の起点となっており、プロが注目するのも頷ける。
攻守の両面にわたって冷静なプレーで光る鍬先。
東福岡伝統の【4-1-4-1】のアンカーに位置する鍬先は、一言で表すと“冷静”。
常に戦況を見極め、自チームのエラー、相手のポジショニングの歪みを敏感に読み取る。正確な長短のパスが彼の最大の持ち味で、サイドチェンジや裏へのパス、そしてトップやツーシャドーの足下に通す縦パスの、どれをとっても精度が高い。昨年度の選手権ではその持ち味を存分に披露し、一気にその名を全国に轟かせた。
「もっとゴールに絡みたい。アンカーなので、より集中力を研ぎ澄まして、タイミングを見て攻撃参加しないと、大きなリスクを背負ってしまう。そこの“質”は意識している」
付け加えると、彼の冷静さはピッチ上だけで無い。ピッチ外でも落ち着いて周りを見ることが出来る。春先に東福岡に訪問して彼に話を聞いた時、自らの将来についてこう話していた。
「今のところ大学を卒業してプロを考えています。親は自分の好きなようにやれと言うが、現役生活を終えてからの人生の方が長いので、大学行って、そこでプロに誘われなかったら、『その程度の選手だった』ので、大学に行ってプロに誘われる選手になりたい。そういう考えも持っています」
今、彼はまさに選択をしようとしている最中。プロのスカウト陣は、彼のこういう冷静さ、思慮深さも評価の中に入れている。彼の『試合を読む目』にはぜひ注目をして欲しい。