“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
リオ18人枠を外れても「プラスに」。
中谷進之介20歳、再び燃える反骨心。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/07/13 11:00
ファーストステージ第11節・川崎フロンターレ戦でプロ初ゴールを決めるなど、中谷は急成長を遂げている。
「『これから先、見てろよ!』と思っています」
筆者は彼のことを高校時代から取材しているが、これまでの悔しい経験は、間違いなく彼をさらなる上のステージに押し上げようとしていると断言出来る。理由は当然、彼が言ったように、これまでの悔しい経験すべてである。その理由を分析し、自分に落とし込む作業が必要だ。そして何より重要なのが、悔しさを『経験させられた』から『経験させてもらった』に変えていくこと。彼はそれを理解しているからこそ、気丈に前を向いている。
「17歳のときは分からなかったけど、再びこうなってみて分かるのは、今は辛いけど、長い目で見たら必要な経験だったということ。もう割り切れているし、そこが分かるようになったことが、成長したところかもしれません。『これから先、見てろよ!』と思っていますし、これからは一気に上に行くためにパワーを溜め込む時期だと思います。何年か後に海外にいったときやA代表に入ったときに、そのパワーを発揮しないと自分が求める物は掴めない。それをやった上で、『あの経験があったからこそ、今がある』と、あと10年後に言いたいです」
バックアッパーメンバーである誇りを持って。
へこたれない。すべてを前進のエネルギーに。
彼が見つめている先はもっと先にある。
目線はどんなときであっても下を向かないのが、中谷進之介という男なのだから。
「もちろん、18人からは落ちましたが、バックアップメンバーである以上、チームに何かがあったときにすぐに行けるように、最高の状態をキープするつもりですよ!」
去り際に交わした固い握手には、彼の決意が込められていた。
『柏から世界へ』
クラブがアジア・チャンピオンズリーグなどで戦う時のスローガンである。もちろん、中谷にもこの志は貫かれている。
彼の本当の戦いはここからがスタートだ。