“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
リオ18人枠を外れても「プラスに」。
中谷進之介20歳、再び燃える反骨心。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/07/13 11:00
ファーストステージ第11節・川崎フロンターレ戦でプロ初ゴールを決めるなど、中谷は急成長を遂げている。
現実を受け入れた上で、見返してやるという気持ち。
こう続けると、少し天を仰いだ。彼の表情からはこみ上げて来る悔しさと必死で戦っていることがすぐに分かった。悔しいのは当たり前。だが、前を向いて行かないといけない。一人の人間として、プロとして。彼は自分と真っ向から向き合っていた。
そして、新潟戦から6日後の7月8日。日立柏グラウンドで練習を終えた彼に再び話を聞いた。
「僕みたいな経験をしている選手はなかなかいないと思います。試合に負けたときも、メンバーから落ちたときも、まずはその結果というものを、自分が受け入れないと成長出来ないと思います。マイナスのことを受け入れることって、凄く難しいじゃないですか。当然、『なんでだよ!』という想いが先に来てしまうと思うので……。今回も悔しい気持ちとショックがありましたが、まずその受け入れ作業をしました。でも、ただ受け入れただけでは何も成長しないので、そこで『見返してやろう』とモチベーションに変える。今はまさにその状態にあります」
五輪から落ちた今こそ目指すものは1つ、A代表。
まっすぐに見つめる目は、彼がこの1週間で味わった苦しみと、そこから生まれた将来への強い決意を十分に理解することが出来た。そして、彼はこう続けた。
「本当に僕のサッカー人生は悔しい思いが多い。U-17のときも、自分がアジア最終予選後に呼ばれなくなって、その間にレイソルを含め、周りの年下の選手がどんどん選ばれて行ったのは、正直しんどいものがありました。U-19のときは本当に力不足だった。『なぜあの北朝鮮に勝てなかったんだ』と本当に悔しかった。
だからこそ、リオ五輪に対しては、『絶対に達成する目標』としてやってきた。でも、その目標自体が無くなった。その現実を受け入れることが、一番パワーを必要としました。新潟戦の後も、悔しさがにじみ出て来て……。今ももちろん悔しいですが、リオ五輪に落ちてしまった以上、もう僕には目指すべきものは1つ、A代表だと思います。今、代表に名を連ねているCBはいますが、自分が越えて行きたいと思います」