リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
メッシは「シャビの後継者」の道へ。
“5つの数字”が全てリーガトップ5。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byAFLO
posted2016/05/29 10:30
バルサの3トップは、互いのゴールを本当に嬉しそうに祝福する。それもスアレスとネイマールという曲者が、メッシをリスペクトしていればこそだ。
ドリブルはネイマール、スルーパスはメッシが圧倒。
対峙したディフェンダーをかわすという意味での「ドリブル」はネイマールが1位で、一試合当たり約4.2人を置き去りにしている。2位はアトレティコのカラスコで約4人。3位はメッシで約3.8人。4位はハリロビッチ(約3.2人、ヒホン)で、5位はコノプリャンカ(約2.85 人、セビージャ)となっている。マドリーの最上位は6位のイスコ(約2.75人)。ドリブラーのイメージがあるC・ロナウドが30位にも入っていないのは意外だろう。
最後に、ディフェンスライン上にいるディフェンダー間を通す「スルーパス」はメッシが90分あたり1.09本を出して1位。2位のノリート(セルタ)は0.53本、3位のハメスは0.47本、5位のイニエスタ(バルセロナ)は0.45本だから、今更ながらメッシのゲームヴィジョンは普通じゃない。
天才・メッシはシャビの後継者の道を選んだ。
さて、選手の活躍の度合いをデータだけで測るのはよろしくないと冒頭に書いたが、これまで挙げた項目全てで上位5人に入っている選手はさすがに特別扱いすべきである。
メッシのことだ。
彼が天才であることはあらためて言うまでもない。が、今季はこれまでとは違った役割を担いつつ、変わらぬ万能ぶりを示したのだから恐れ入る。
ピッチ上での完全なる自由を監督に与えられている彼は、今シーズンはシャビの後釜に就くことを選び、それに従ってポジショニングも変えた。望んでというより、バルサのリーダーとして、必要を感じてのことだろう。なにしろスアレスという世界有数の9番がいる一方で、敵の守備ブロックを崩すためにシャビが司ってきた攻撃のリズムをコントロールする者がいまのチームにはいない。特に中盤のイニエスタとブスケッツは自分の助けを求めているかもしれない――。
実際、「メッシはチームのことをよく考えていた。自分第一だったことは一度もない」と当のイニエスタがコメントしている。
その結果、前線から離れ、プレイメイクにより深く関わるようになったおかげで、メッシの今季の得点は'08-'09シーズン以来最少となった。反対に、90分あたりのロングパス(23m以上)は過去最高の3.5本に増えた。